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「日本人をやめる方法」、難民から支援者へ

「日本人をやめる方法」というのはオーストラリアで長く教鞭を取られていた杉本良夫教授の本です。

1990年発売で絶版になっているようです。私は、英語で書かれた日本人論などを色々と探すうちに行き着き、大学で取り寄せてもらい読みました。

「日本人をやめる」という過激なタイトルですが生きづらく息苦しく思えるような日本らしさについて一石を投じる良書です。作者自身が日本人であり、また記者として日本で働いた経験もあり、その中で家族と一緒にオーストラリアに移住する中で見えてきた視点について書いています。
日本で仕事をしてからの海外留学など私自身の経験とも重なるので参考になりました。

中でも面白いなと思ったのは日本への難民についてたまに議論になることはあっても「日本からの難民」についてはほとんど議論にならないと書いている点です。「海外に散らばって住んでいる日本人の多くの実体験をよく観察してみれば日本社会に愛想をつかして事実上逃げてきた人たちが、あちこちにいることがわかる」と書いています。会社難民や教育難民もその一つとしています。

そこで、今日知ったこのニュースもまたタイムリーでした。

海外への永住組が「静かに」増加しているというのです。今までは移住というよりは駐在や海外赴任が一般的だったかもしれませんが、これからは海外で仕事を探したり、海外で子育てしたりする選択肢もますます増えてくるのかもしれません。確かに、この本が書かれてから30年以上経ち、難民が増えているのかもしれませんね。

杉本氏は、日本人をやめるというと裏切りと思われれるかもしれないが、裏切どころではないという。むしろ海外に出ると日本のことをもっと深く知ることになり、ますます日本人になるという行為であると。

「やめる」ことは到底できることではありません。きっと「やめる」というよりは次世代の(?)日本人になるという感覚でもいいのかもしれません。

日本社会のゆがみを、日本の内側にいて変えていこうとする人たちと共に、日本の外側で同じこととしようそする人たちがあってもいい。その人たちのやることが、日本の国内にいる日本人に対して助けになるようなことも少なくない時代になった。

そう話す杉本氏のように私も海外から、日本の先生方をサポートできるお仕事が何かできないかと最近、考えています。

Teachers of Japanではティーチャーアイデンティティ (教師観)の発見を通じて日本の先生方がもっと自分らしく教育活動に専念し本来は多様である「教師」の姿を日本国内外へ発進しています。日本の先生の声をもっと世界へ!サポートいただけたら嬉しいです。