孤独とアイ

自分から別れを告げたのにもかかわらず、何もないときに考えてしまう。あの人は私のぽくっとした乳をやさしく形取るように触れていた。剃るのをわすれてちょっとだけ主張しているヒゲが私のうなじに刺さる。オーバーオールは脱がしやすくて好きなんだ、といいながらブルージーンズ生地に隠れた私の大股を撫でる。ブルージーンズ生地を上から見て確認すると、ミミズが大量発生したかのように動きまわっているのが確認できる。

シャッター音はやがて消える。その写真が私の心に宿るとやがて消え、朝日がきていた。いつも若干開けてあるシャッターから黄色の強い光が差し込んでくる。だるさを主張している自分の物体をゆっくりネガティブに起こす。すみれの枕カバーに目がいく。鼻を近づけてすっと息をする。

ーああ、まただ。
少しむっとするような夏の蒸し暑さを感じる。けど汗じゃないことはわかった。シャッター音と連動して私の思い出の抜け殻は出ていってしまっているのかもしれない。なんたることだ。かわいそうな私。とかいって、自分を女優の一人にしてる自分に思わず笑ってしまった。部屋の片隅にある点いていないテレビを見る。むくんでショートの髪の毛がいろんな方にむかっていてまるで思春期を歌うパンクロッカーのようだった。右足で地を踏み立とうとすると少しよろけた。自分の体から発する野生の匂いが嫌だった。

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