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映画「僕の好きな女の子」

「火花」、「劇場」で注目されている作家、又吉直樹さんの原作を監督・玉田真也さんが映画化した本作。玉田さんは、前作「あの日々の話」で第31回東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ部門」に選ばれるなど注目される監督さん。
そんな玉田さんが描いた恋愛映画の今作。

原作がわずか4ページのエッセイを長編映画にするという難題に加え、「僕」と「キミ」の関係性が、玉田監督自身の恋愛観とは異なることから、同感情移入をさせたらいいか悩んだそうです。
 ですが、玉田監督は、脚本を1ヶ月。撮影11日間。映画化始動から6ヶ月というなんとも短いスケジュールで映画完成させ上映へ。
短期間で制作したとは思えないほどの役者陣、スタッフの方々の熱量が組み込まれており、作品に対しての熱い思いが汲み取れた。


①【誰もが感じたことのある切ない恋】
 ドラマの脚本などを作り、生計を立てている主人公、加藤を演じた渡辺大和さん。渡辺さんはロックバンド「黒猫チェルシー」のボーカル兼俳優。今は俳優業に専念されている役者さん。過去には、映画「色郎ぜねれいしょん」で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。
 そんな渡辺さんが恋をする相手を演じた朝倉あきさん。NHKドラマ「半分、青い」や「次はあなたの番です」で注目を集めている女優さん。
 そんな彼女は、加藤を夜に急に呼び出したり、わがままを強要する。渡辺は好きな女の子のことはなんでもしてあげてしまう俗に言う”優しい人”。自分の思いが届かないとわかっているけど、永遠にはこの友人関係は続かない。けれども告白して友人ではなくなってしまうのなら、このままの関係に留まってしまう内気な性格。誰よりも恋愛に対しては真面目。

 そんな彼女に彼氏ができた。

 朝倉さんが発した『彼氏ができたの』は、衝撃だった。朝倉さんの前で加藤は”好きな人の前ではいつも笑顔でいなきゃ”という感じだったが、その瞬間だけ、笑顔は消えていた。
 自分自身見ている側もそのシーンだけは、忘れられない。特に加藤を演じた渡辺さんの表情がすごい。
 
 彼氏役を演じた中野太賀さんが、朝倉さんに対して”あいつ”と呼んでいることに、内心反発した加藤は、そこで初めて朝倉さんのことを”あいつ”と呼ぶ。なんとも切ない。”あいつ”なんて呼ぶはずがないのに読んでいる加藤に対して涙が止まりませんでした。
 
 “僕の好きな人を我が物顔で語らないでほしい。僕の、好きな人を”

と感じさせるような渡辺さんの演技には圧巻だった。


②【撮影】
 撮影のほとんどがカメラを置き撮影している。長丁場での撮影が舞台を見ているかのような感覚にされる。ですが、その感覚が自分は見ていて好きでした。
玉田企画に所属している役者さんたちが出ているからこそ、出せる味であり、リアリティに追及しているからこそ、演技を演技と思わせない作り方が素晴らしい。


③【まとめ】
 誰よりも好きな人のことを知っているはずなのに、彼氏にはなれない。そんな切ない恋を脚本に落とし込んでいる玉田さんの技術が凄まじい。(エッセイ4ページを)
 
 30日に玉田企画の舞台観劇を控えているので、とても楽しみである。

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