階段室を楽しむ!壁紙や壁色がもたらす空間演出の変化

オフィスの階段室をリニューアルしました。ここはもともと築年数のあるビルをフルリノベーションした物件です。時代を過ごしたしっとり感を残し、前回はファクトリー感あるグレーベースでまとめていました。

同じ空間でも、その色や模様や配色で大きく印象が変わってきます。


■Before ↑ :グレーベースでまとめた場合:床の素材はBOLON。壁面は塗装にペイントでサインをデザインしていました。ボロン社はスウェーデンで1949年に創設されたフロア材メーカー。スウェーデン伝統の"はぎれ織りカーペット"から、会社設立の発想が生まれまたBOLONは、当初の原材料だった綿(bomull)とナイロン(nylon)の造語です。やがて、全ての商品がビニル織りで製造されるようになり、世界で初めての「ビニル織物床シート」としてその風合いと堅牢さ、そしてその色合いのデザイン性などから、今では世界3 0ヶ国以上に販売され、レンゾ・ピアノ氏やジャン・ヌーベル氏などの著名な建築家、ポール・スミス氏やジュリオ・カッペリーニ氏などのプロダクトデザイナーたちにも高く評価され、多くのプロジェクトに採用されている素材です。この階段で採用した理由としては、やはり素材の風合いもありつつ堅牢で防滑性やデザイン性があったからです。ただし、織物床材であるために、その織目に汚れが入り込みやすいためお手入れのこまめさも必要でもあります。(通常のメンテナンスでOK)

と床材の話が長くなってしまいましたが、なぜならば今回のリニューアルは実は、床は既存のまま!そのBOLONをしっかりと業者クリーニングをして再利用。つまりは壁の印象だけで、リニューアル後の空間が変化をしているのです。


■After ↑:床材は既存のBOLONで色はグレーメタリック系(クリーニングによりメタリック感が回復)。壁面は塗装×アクセントクロス(壁紙)にしてみました。最近は特に素材感がリアルで個性的な壁紙も多いので、その壁紙の楽しさを感じられる空間にしたいと考え、空間構成の最初に壁紙のセレクトから考えていきました。そして壁面の塗装のセレクト、壁紙に入っている色からつなげると全体的にまとまりやすいのが、その場合その壁紙で使用されている色の配合具合いと、掛け合わせての色のボリューム感を絶妙にバランスを吟味していきます。例えば、今回の壁紙でまとまりやすい色を考えてみると…

白:全体ベースを爽やかに明るくパキッとして、モチーフが際立つ

ブラウン色:土っぽさがでてエスニックなイメージに

緑色:モチーフ内では少ない色だが、ナチュラルにレトロ感が漂う

そして、モチーフ内では分量の多い色である赤色系はどうでしょうか?バランス的にはアリなのですが、実際にはちょっと「くどい」感じになり壁紙を引き立てるよりも、同化しつつ弱めてしまう可能性も否めません。強いオレンジ色も同じ傾向です。…ということで、セレクトしたのは

マンゴープリンのような色に。床面のグレーとの調和や空間でのやわらかさや明るさ、もちろん壁面を引き立てつつのコントラストなどなど多角的に検討した色味です。同色の中から更に、色相・彩度・明度・白の混ざり具合そして関連するパーツの色をあえて、ブラック色で引き締めています。階段手摺の色も以前は空間に調和させるために壁面と同色でしたが、今回はブラック色で立体感をアクセントにしています。

ということで、同じ空間でも壁紙や色使いで全く違う空間のようになりませんか?以前のクールな感じも好評でしたが、今回は明るく軽やかに楽しくなった!という感想も多く、空間を構成するデザインや色のパワーを実感します。


ちなみに、↑こちらは別の階。床材とベースカラーは同じなのですが、壁紙をガラッと替えています。扉を開けた向こう側の景色も考慮しつつ、ダークグリーンに金色ヤシの木模様で、大人リゾートのしっとり感にしてみたり。


↑サインをアクセントにデザインしてみたり。

今回は、「階段室」という大きくはない空間でのリニューアル事例でした。一般的には階段室は、メイン空間よりも通り過ぎる機能空間としてシンプルに考えられがちではあります。そんな階段室は特に4方向の距離が近くて、縦に長く、階層との連続性やコントラストやバランスを、組み合わせによってバリエーションの表現が、実はとても楽しめる空間なのです。

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インテリアデザイナーの色彩レポート

インテリアデザインにおいて、視覚的にも重要な色彩について。カラー心理カウンセラー&カラーセラピストとしての観点からもレポート。カラーデザインをメンタルにも美しく。
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