【Netflix】「虚構の錬金術 セントラ・テック詐欺」道徳のない人たち
【概要】
虚構の錬金術: セントラ・テック詐欺【原題 Bitconned】
2024 | 年齢制限:16+ | 1時間 34分 | ドキュメンタリー
暗号資産市場が規制に縛られない点を悪用し、投資家たちから多額の資金を巻き上げ、派手な暮らしを楽しんでいた3人の男たち。実際に起こった詐欺事件の一部始終に迫る犯罪ドキュメンタリー。
(Netflix公式サイトより)
【評価】
面白い、巧みなドキュメンタリーだけど、善人は見ないほうがいいかもしれない。胸糞だから。
冒頭、若いハンサムな男が、アルマーニの上等なスーツを仕立てているところから始まる。
この男、レイモンド・トラバニ(レイ)は、子供のころから「犯罪者になりたい」と公言していた。
額に汗して真面目に働く、なんてことは、1ミリも考えたことがない。
ただ自分の幸福感だけを追求する。ラクして、ぜいたくしたい。そのためには、躊躇も妥協もない。
根っからの詐欺師です。
そういう男の前に、暗号資産市場(ICO)なんてものが生まれたら、
「利用しないわけにいかない」
というわけです。
暗号資産の7割は詐欺だ、というデータが出てきます。
日本でも、詐欺師の楽園だったのではないでしょうか。
レイは、ブロックチェーンのブの字も理解していませんが、ハーバード大経営大学院卒を名乗って、アルマーニのスーツに身を包む。
そして、「頭の悪い」フロイド・メイウェザーをだまくらかして広告塔に使い、2017年から「セントラ・テック」という「もうかりそうな雰囲気だけ」の暗号資産企業を始めて、大儲けします。
24歳にして、1日50万ドル(約7000万円)をかせぐ。
いさぎよいほどに「すべてウソ」の世界なんですが、マネーは現にそこにある。彼の幸福感はMAXに高まります。
このドキュメンタリーの前に、私はたまたまYouTubeで、「自己破産した芸能人・有名人14選」というのを見ていました。
自己破産した芸能人・有名人14選【※借金地獄】(ガラガラポン新聞 2023年12月13日)
小林旭とか藤田まこととか加山雄三とか。
羽振りのよさそうな有名人の周りには、必ず詐欺師が寄ってくる。
そして有名人と家族をカモにして、借金地獄につきおとす。
犠牲者たちは借金を返すために一生働かされるが、詐欺師たちはどこかでカネを握って遊び暮らしている。
詐欺師に道徳や倫理はありません。こういうドキュメンタリーを見ると、よくわかります。
でも、レイは、
「犯罪者は悪人ではない」
と言う。
本当にそう思っているのかもしれない。
レイは、たとえば家族には優しかったりする。家族にも一緒にぜいたくを味わわせている。だから、家族は彼を守る。
こういうところもマフィア的ですね。
要するに、彼の幸福感を支えるに必要な範囲の人間たち、家族とか恋人とか、近しい人には「優しい」。
しかし、知らない人、遠くにいる人には、一切同情心や共感が働かない。
だから、犯罪や詐欺、嘘をつくことに罪悪感がない。
そういう人はたくさんいる。
YouTubeとか、Xとか見てても、たくさんいますよね。
「セントラ・テック」の詐欺は、NYタイムスに暴かれ、レイを含めて幹部はFBIに逮捕される。
ほかの仲間は収監されたが、レイは仲間を売って(つまりFBIの捜査に協力して)、シャバで普通に暮らしている。
なんなら結婚して、子供をもち、幸福に暮らしている。
だましとったカネも、どこかにたんまり隠しているらしい。
被害者たちは歯ぎしりをするが、どうにもならない。また彼が犯罪をおかしてつかまるのを期待するしかない。
レイも、「自分はまたやるだろう」と言う。絶対に逃げ切る自信がある。
わたしたち善人は、社会にこういう人がたくさんいることを前提に、注意して生きなければならない。
そして、こういうドキュメンタリーで、彼らが自分たちよりいい生活をしているのを見て、悔し涙を流すのです。
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