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【演劇】連鎖街のひとびと(こまつ座・井上ひさし作)

 2023年12月2日(土)、紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAで、こまつ座・第148回公演の『連鎖街のひとびと』を鑑賞しました。
 以下、記録を残します。なお、今回、人名で敬称略が多いですが、ご了承下さい。

■公演概要

(1)スタッフ・出演者

・作:井上ひさし
・演出:鵜山 仁
・出演:高橋和也、千葉哲也、加納幸和、鍛治直人、西川大貴、朴 勝哲、石橋徹郎、霧矢大夢
※一部分で、すみません。

(2)公演日程

以下の日程で、公演されます。
・東京:11月9日(木)〜12月3日(日)
・山形:12月10日(日)
・群馬:12月22日(金)
・中部・北陸:2024年1月16日(火)〜 2月10日(土)※全国演鑑連、中部・北陸ブロック協議会 (会員制公演)とありました

■「井上ひさし」と「こまつ座」

(1)こまつ座について

 私が、アレコレ書く前に、こまつ座のHPのリンクを貼ってみます。

 一部抜粋しますと、こまつ座は、座付作者井上ひさしに関係する作品のみを専門に上演する制作集団です。

 私も以前から、新宿の紀伊國屋書店を通る際、掲示されているポスターを見て、気づいていました。(井上ひさしの小説を、それほど読みこんだことはなく大変恐縮ですが、)「一度は観てみたいなぁ。」と思っていた劇団・舞台です。
 最近では、『頭痛肩こり樋口一葉』(貫地谷しほり出演)や、『闇に咲く花』(松下洸平出演)などのニュースが、テレビを含めて印象に残っています。

 今回、縁があって『連鎖街のひとびと』を観ることが出来ました。

(2)井上ひさしについて

 Wikipediaなどから、少しだけ記載します。
 井上ひさし(1934〜2010)は、山形県出身の小説家・劇作家・放送作家です。ペンネームの1つに「遅筆堂」とありました。
 私も、もう25年以上前になりますが、高校の国語の時間に「井上ひさしは筆が遅くて、出演者を泣かせる。」と聞いたことがありました。そういえば、(私も持っている)講談社の「少年少女古典文学館」というシリーズでも、井上ひさしの巻が間に合わずに抜けているようです。

 今回、『連鎖街のひとびと』にも、台本書きに四苦八苦する劇作家が二人出てきて、「井上ひさしさんも、こんな感じだったのかなぁ」と思ったりしました。

■作品『連鎖街のひとびと』について

(1)あらすじ

時は、昭和20年8月末の2日間。
場所は、満州国の南の関門である大連市、繁華街である「連鎖街」。
とり残された劇作家たちに課された使命は、通訳将校歓迎会の台本作り。しくじればシベリア送りの状況下、時間も食事も俳優も何もかもが足りない中で、一組の男女の恋愛も相まって、生み出されたのは起死回生の逆転劇。

井上ひさしがモリエールやモルナールなどに台本の結構を仰ぎ、浅草で学んだギャグを用い、台詞の調子をシェイクスピア、チェーホフらに意識して書き上げた本作、新たな実力派キャストを迎えて21年ぶり待望の再演。

紀伊國屋のHPを補足しつつ記載。

(2)感想

 戦争に関わる物語だったので、重い話になるのかなぁと思いましたが(勿論、背景として重い部分もありますが)、台本書きを急ぐ二人の劇作家、恋愛の状況に一喜一憂する男女など、一生懸命さが面白さや笑いを呼ぶ側面があり、楽しむことが出来ました。公演プログラムの霧矢大夢さんのコメントにありましたが、「連鎖街の”愉快な”ひとびと」とも言えるでしょう。
 私個人は、状況を正面から捉えがちなタイプなので、見方を変えて、違った側面を切り出すのは、作家・井上ひさしさんの力量なのだろうなぁ、と思いました。

 劇中の劇作家は、新劇の劇作家・塩見(演:高橋和也)と大衆演劇の劇作家・片倉(演:千葉哲也)です。本作の大きなテーマとしては、戦争や恋愛における失敗を、フィクションがカバー出来るか、フィクションで覆ってよいのか、だったように思います。ネタバレになるので、ラストなどは伏せておきます。

 そして、新劇とはどんな劇か、上記引用にもあるモリエールやシェイクスピアなど海外の作家はどのような位置づけにあるのか。
 こうした「劇のスタイル」や「劇作家の位置づけ」について語る文脈において、客席から笑いが起こる場面もありました。誰のどんな部分を取り出しているのか、もっと理解出来れば一層面白いだろうなと思いました!

 最後に、劇作家が書いた劇中劇に、りんごの話が出てくるので、写真は、happy_echium96さん・(ふみっちさん)のりんごの写真を使用させて頂きました。どうもありがとうございます。

 本日は、以上です。

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