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【読書】菅原伝授手習鑑(ストーリーで楽しむ文楽・歌舞伎)

 2023年5月某日、「ストーリーで楽しむ文楽・歌舞伎」シリーズの『菅原伝授手習鑑』(本書)を読み終わりました。同シリーズは、岩崎書店から発刊されているシリーズです。本書の著者は金原瑞人さん、絵は佐竹美保さんでした。

■少し休んで
 本や舞台など、ストーリーがあるもの、そして有料であるものについて記事を書くとき、どれぐらい「あらすじ」を書いてよいか、迷うことがあります。「あらすじ」を全く書かないと、読んでる人が全く分からない気もしますし、他方で、引用しつつも、著作権の侵害のように感じる部分もあり、本当に難しいです。
 自分が思ったことや、感じたことを、もう少し丁寧に書くことに重点を置ければよいのですが、当面の課題のように思います。

■『菅原伝授手習鑑』について
 『菅原伝授手習鑑』は、文楽や歌舞伎の時代物で、『義経千本桜』や『仮名手本忠臣蔵』に並び、三大名作と言われています。
 舞台などで観ていない場面も多いのですが、本書を読んで、三つの作品のあらすじを、おおよそおさえることが出来ました。その上での感想ですが、私は個人的に、この『菅原伝授手習鑑』が一番面白かったです。
 武士の忠義や恋愛ものというより「師匠と弟子」の関係が描かれていました。「菅原伝授」とは、菅原道真が「書(筆法)」を後世に伝えることで、物語の軸となっています。私自身は、師匠と呼べる人を明確な形では持つことが出来ませんでしたが、人生の長い時間に師弟関係を築ける方は、本当に素晴らしいだろうなと思います。

■菅原道真公について
 菅原道真公について(本書を読んだ印象では)弟子を勘当するなど、堅い人物、少し厳しい人物のように私には映りました。
 さて、道真公は都から太宰府に左遷される訳ですが、死後、都では天変地異が起こったと言われています。道真公の気持ちには、色々な解釈が出来ると思いました。
 個人的には、堅く厳しめの性格であったが故に、反動で怒りが起きたように感じる面もありました(私怨、私的側面)。しかしながら、作品の骨格としては、仕える天皇がいて、道真公を陥れた時平という敵対するライバルがいて、公的側面から道真公の怒りが爆発したように、作られているように思いました。
 様々な要因・要素があり、個々の作品でどのような解釈、どのような演出がなされているのか、これからも考えていきたいです。

■文楽の公演について
 2023年5月11日(木)から、国立劇場(小劇場)で、文楽の『菅原伝授手習鑑』が上演されています。今回の上演は二段目までで、三段目以降は秋に上演されるようです。
 私はまだ舞台を観ていませんが、本書を読んで、二段目の道真公が養女として預かり育てた苅屋姫の実家(実母・覚寿、姉・立田前、姉の夫・宿禰太郎、姉の義父・土師兵衛)の下りが面白そうだなと思いました。文楽のチラシにも「格調の高さでは文楽の全演目の中でも屈指の場面」とありました。陰謀渦巻く場面のようです。

本日は以上です。



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