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美術史解説マンガ:小さな部屋で宇宙をみる ー正岡子規『病牀六尺』

 現在、都心部をはじめ各地では2度目の緊急事態宣言下にあります。

 一度目とはやや雰囲気が違うながらも、やはり自宅に居ることが増え、外出がしにくくなっています。

 そんな今だからこそ、この漫画を取り上げたいと思います。

正岡子規 病床六尺

正岡子規 病床六尺2

 正岡子規は、明治30年(1897)に俳句雑誌『ホトトギス』の刊行を主宰し、俳句の革新運動を行った人物で知られています。

 一方で、『ホトトギス』創刊以前の明治28年(1895)に結核にかかり、以後、明治35年(1902)に亡くなるまでの7年間、病床から離れることが出来なかった人物でもあります。

 『病牀六尺(びょうしょうろくしゃく)』(明治35年・1902発表)は、そんな子規が、新聞・雑誌・本、または訪れた人から聞いた話を元に、病床の中で興味関心事を書き綴った随筆なのです。

 この漫画は、1度目の緊急事態宣言下のときに描いてtwitterにアップしたものです。

 結核という大病に苦しめられ、たった六畳の部屋から一歩も出ることが出来ずとも、物事に対する探求心と瑞々しい感性とを絶やさなかった子規の「内心の自由」は、

 子規とは状況が違いながらも、自宅で時を過ごすことが増えたコロナ渦の私たちが、ハッとさせられるところがあるのではないかと感じ、漫画にした次第です。

 ちなみに、漫画の中にも登場する「内心の自由」という言葉は、私の大学院の恩師の一人によるお言葉です。

 その方は子規のことを「生活の天才」とも仰っていました。

 なりたいなぁ…生活の天才…

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