人間失格 太宰治と3人の女たち 感想徒然

「人間失格 太宰治と3人の女たち」を見た。
太宰ファンであるので義務だった。

感想は、良いか悪いかで言えば良かった。
これを観て、「蜷川実花は文学を舐めている」とかいうレビューを書いている人はその人こそ文学を舐めている、というか太宰を知らないのだろう。

蜷川実花の耽美な世界観は嫌いじゃないし(ファッションが何よりサイコーだった)、太宰の描き方も解釈違いというわけでもなかった。なので良かった。

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vol.58 トニ・モリスン「ソロモンの歌」を読んで(金田眞澄訳)

アメリカの黒人差別の時代に、いろいろと思いをはせる作品だった。

小説の中に流れている時間に、グイッと引き込まれた。本を開くと、以前よく聴いていた1920年代の黒人ブルースの世界にすぐに飛んでいけた。そこには、アメリカ南部の黒人差別の風景があった。ビリー・ホリデイの「奇妙な果実」が蘇った。

ノーベル文学賞作家、トニ・モリスンさんは、先月亡くなられたこともあり、朝日新聞でも紹介されていた。通いの図

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【帝都怪奇浪漫画報】3話更新のお知らせ

明治時代文豪×オカルトのオリジナルノベルシリーズ『帝都怪奇浪漫画報』の本編第3話を更新しました。

>>NOVEL DAYS 『帝都怪奇浪漫画報』

>>カクヨム『帝都怪奇浪漫画報』

例の如く、どちらも更新内容は同じです。お好きな方でお読みください。

NOVEL DAYSの方は、登場人物紹介ページに人気投票的なのがついているので、お好きなキャラに投票してくださればキャラ人気の参考にいたしますw

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vol.56 ゴーゴリ「外套」を読んで(平井 肇訳)

1840年に書かれたロシア文学。180年前のロシア、酷寒のペテルブルグの街を、外套の襟を立て、うつむいて歩く小役人を想像した。その仕草や身なりや臭いまでもがとても鮮明に伝わった。みんなから嘲笑される哀れな万年九等官の内面を知りたいと思った。

岩波解説に、ドストエフスキーの「我々は皆ゴーゴリの『外套』から生まれ出たのだ」との言葉が紹介されていた。また、芥川龍之介はこの「外套」を模倣して「芋粥」を書

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vol.55 カーソン・マッカラーズ「結婚式のメンバー」を読んで(村上春樹訳)

訳者解説の村上春樹氏が、大学生の頃から何度も読み返し、文学の最高傑作とたたえていたこの小説、僕の好きな女優、杏さんが紹介していたこの小説、表紙の写真からなんとも言えない気だるさが伝わるこの小説、多くの言葉がぎっしりと詰まっていた。とっくに忘れ去った13歳の頃の僕の心を思い出させてくれた。

概要

1940年代8月、アメリカ南部の田舎町にいる12歳の女の子、フランキーの怯えを抱いたままさまよう感情

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vol.54 永井荷風「雨瀟瀟」(あめしょうしょう)を読んで

孤高の生活の中で、雨と病と漢詩を織り交ぜながらつづった文章に、江戸の情緒を愛した荷風の心持ちがよく伝わった。

小説とも随筆ともつかない作品だった。男が妾を持つということの悲哀などをつづりながらも、しとしとと降り続く秋雨に、情緒のある文化をも流してしまう寂寥の念が浮かんで、憂鬱になっている荷風を感じた。

また、病に悩まされながら、昔の友からの手紙などを読み返し、最近は江戸風の情緒もなくなったもの

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招魂ー金素月(キム・ソウォル)

粉々に砕け散った名前よ!
虚空中に別れた名前よ!
呼ぶも主のない名前よ!
呼び続け我が死ぬ名前よ!

心中に残る一言は
最後の最後にも言い切れず
愛していた彼の人よ!
愛していた彼の人よ!

赤い日は西山縁側にかかった
鹿の群れも悲しく哭く
離れ出て座った山の上で
我は貴方の名前を呼ぶ

悲しみの余り呼ぶ
悲しみの余り呼ぶ
呼ぶ声はすれ違うが
天と地の間が遠すぎる

立ったままここで医師になっても

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酒を勧める社会ー玄鎭健(ヒョン・ジンゴン)

著者死後50年以上経っているパブリックドメインの作品でしたので、翻訳してみました。
原文:https://ko.wikisource.org/wiki/%EC%88%A0_%EA%B6%8C%ED%95%98%EB%8A%94_%EC%82%AC%ED%9A%8C

「あちゃ」、一人で縫い物をしていた妻は顔をちょっとしかめて細く鋭い音で叫んだ。針先が左手親指の爪の下を刺したからだ。その指は軽く震え

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運のいい日ー玄鎭健(ヒョン・ジンゴン)

著者死後50年以上経っているパブリックドメインの作品でしたので、翻訳してみました。
原文:https://ko.wikisource.org/wiki/%EC%9A%B4%EC%88%98_%EC%A2%8B%EC%9D%80_%EB%82%A0

つんと曇っている様子が雪が降りそうな感じがしたが、雪は降らずに凍りかけの雨がじめじめと降ってきた。
この日こそ、東小門前で車夫をしていたキム・チョムジ

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