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映画を早送りで観ないタイプのZ世代 - 稲田豊史『映画を早送りで観る人たち』、蓮實重彥『映画 魅惑のエクリチュール』を支えとして
最近、映画監督の坂本礼さんの最新作に、こんなコメントを寄せた。 試写室で、絨毯敷きの床に寝そべって観る坂本監督のとなりで彼の映画を観た時間は、なんだか忘れられない。 映画は時間。平等な時間をすごす。それが、あたりまえだと思っていた。 稲田豊史『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ——コンテンツ消費の現在形』を読むまでは。 なぜ映画を早送りで観るのか? 現代は映像作品が供給過多になったうえ、可処分時間の減少/多忙によるコストパフォーマンス(タイムパフォーマンス
ジブリを1作も見たことがない22歳が「君たちはどう生きるか」で宮崎駿に出会った話 —— ノーマン・ブライソン「拡張された場における〈眼差し〉」を軸に
ジブリを見ないまま22年間生きてきた。わたしのはじめてのジブリは「君たちはどう生きるか」だった。 *以下、ネタバレあり。 かまいたちのコントに「トトロ見たことないねん」と山内くんが自慢して、濱家くんが戸惑うコントがある。「何回も繰り返される再放送の網をぜんぶくぐり抜けて、37年間1回もトトロ見たことないねん。すごない? みんなはトトロ見たことない状態には戻れへんやん!」と力説する山内くん。「なにがすごいねん」とツッコむ濱家くん。 そのコントを見ながら、わたしはふと気づいた