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ハロー・ワールドの三幕分析

こんにちは、神岡です。
久しく時間が空いてしまいましたが、今回の記事は最近見てきたハロワについて書いていこうと思います。
ネタバレ全開、観賞された方を前提とした記事ですので、ご注意ください。

パンフレットを読んで!

最初、ツイッターで仲良くさせてもらっている作家志望仲間の皆さんが「ハロワはいいぞ!」と口をそろえて言っていたので、就職活動が流行っているのかと思ったら思ったら全然違いましたね。

こちらの映画のことでした。

感想を一言で述べると「めっちゃ面白かった」です(語彙力)。
付け足すと、作り手のセンスばかりの面白さではなく、観ていて安心する王道のような面白さでした。
このまま「あ~面白かった!」と劇場を出てしまうとすぐに忘れていってしまうので、創作活動に取り入れられる要素はないかなと思い、パンフレットを購入しました。

こういうのって、監督とキャストのコメント、制作の裏話や美術資料がまんべんなく載ってるイメージですが、ハロワのパンフは自分が期待していた以上にストーリーの作られていく過程が詳細に記されていました
特に、このストーリーを作るために参考にした映画や小説がどっさり記載されていたのは嬉しかったです。いい買い物でした。

三幕構成

それでですね。このパンフによると、ハロワはストーリー作りにおいて「ハリウッド脚本術」に則っているとのことです。
「ハリウッド脚本術」というと「三幕構成」が有名です。


というわけで、それを検証するために「ハロー・ワールドの三幕構成あてはめ」をやってみます。

第一幕:設定

第一幕は世界観、人物の説明、主人公の役割など、ストーリーの設定について説明するパートです。
ハロー・ワールドの凄い所は、これを一気にかつ一瞬でやっていた点です。

冒頭に近未来の京都、主人公の優柔不断さの描写が終わった後。
怪しげな人物(未来の自分)と出会った主人公は、三つのことを告げられます。
すなわち「ここは仮想世界であること」「主人公もデータとしての存在であること」「これから恋人を襲う事故を防ぐこと」です。
これって、世界観、人物の説明、主人公の役割、そのままですよね!

こんな風に過不足なく一瞬で設定を伝えられるなんて惚れ惚れします(……こういうのって、つい説明っぽくなったり、くどくど書いたりしちゃうので)

第二幕:葛藤

第二幕は対立、すなわち葛藤です。
ここもスムーズに、主人公の対立しているのは未来の自分ということが分かります。


前半では「必ず上手くいくから、言った通りに動け」という指示に精神的に対立し、後半ではヒロインをめぐって物理的に対立します。

その間に、ストーリー全体を2分割するミッドポイントが落雷事故という形で入っています。この出来事を境目に、ストーリーそのものが青春ラブストーリーからSFへと変化しています。

第三幕:解決

最後に第三幕=解決ですが、ここでは今までのストーリーで積み重ねてきたものがまとめられていました。

主人公は今までの優柔不断さを克服し、ヒロインだけでなく未来の自分も助ける覚悟を決めて、敵=仮想世界の修正プログラムに挑みます。

主人公はヒロインを取り戻し、人間的にも成長してハッピーエンドを迎えました。

最後に

……と、こんな感じでハロー・ワールドのストーリーは確かに三幕構成の基本枠へはめ込むことができます。

人によって違うと感じる部分はあると思いますが、一幕の設定提示のポイントと二幕のミッドポイントについては間違いないと思います。

基本の枠を認識できるということは、それだけ作り手と受け手のズレを回避できるということです。その点においても、ハロー・ワールドは素晴らしい映画でした。

面白かった映画を三幕構成に当てはめてみることは、ストーリーを練る上で非常に参考になります。良ければお試しください。

ではでは。

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神岡鳥乃の電子書籍です。
わずか100円ちょっとのお値段です。
今回の記事が缶コーヒー程度には役立ったなと思われたら、是非読んでいただけると幸いです。


感謝です!