『意識はどこから生まれてくるのか/マーク・ソームズ著』の感想とレビュー
『意識はどこから生まれてくるのか/マーク・ソームズ著』を読了!
ーーー・・・以下書籍レビュー・・・ーーー
➤面白さ
★★★★★+MAX
➤知識量
★★★★★+MAX
➤難解度
★★★★★+MAX
➤オススメ度
★★★★★
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この本ヤバいですw。
というかソームズさんありがとうございます😂
というのも、現代科学をもってしても、全くといっていい程理解に及んでいない謎に、僕が知る限り始めて明確に断定している本だからです。
その謎とは、「私たちの意識的経験(それだと感じる何か)はいかにして生まれてくるのか?」です。
(=意識のハードプロブレム)
著者曰く、それは大脳皮質ではなく、進化的にもっと原始的な脳幹からなのだそう。
(↑これまじでパラダイムシフト)
つまり、私たちが感じる痛みや冷たさなどの外受容的な感覚も、喉の乾きや空腹感などの内受容的な感覚も、そして不安や恐れ、楽しみ、愛情などの情動的な感覚も、全てホメオスタシスの機能でしかないという主張がなされています。
脳はベイズ推定によって外部世界のモデルを作成しています(=メンタルモデル)。
生命という自己完結型のシステムを維持するには、エントロピーを最小化し続ける必要があり、情報理論に則ると、メンタルモデルの予測誤差をゼロにすることがその目標の達成条件です。
瞬間瞬間にインプットされる感覚情報はそれぞれカテゴリー化されており、全て無意識レベルで脳内に登録されますが、予測誤差信号が最も大きい受信情報を脳幹の毛様体賦活系が重み付けを行い、選ばれた(つまり優先順位が高い)情報のみが意識上へと昇れるようになります。
ここで初めて私たちは、経験を伴った感じを受け取ることになります。
その後、中脳水道周囲灰白質(PAG)や上丘などの領域(決断トライアングル)の機能によって、私たち動物は、その場の環境や状況に応じて最も生存確率を高めるような行動を選択できるようになるわけです。
そして行動した後、ホメオスタシスから逸脱する傾向を改善できれば快楽を得て、失敗すれば不快感を経験します。
その経験は脳の予測モデルの誤差を少なくするよう活用され、情報がアップデートされます(=いわゆる学習)。
ということで、今ここで私が必死にした説明が正確かどうかは置いといて、、脳を持つ全ての生命は基本的には同じメカニズムで生命システムを維持しているようです。
もちろんホモサピエンスの場合は、これらアルゴリズム全てが極めて複雑化されているのは想像通りです。
さて、この本の内容が事実だとすると、重要で重大な課題が見えてきますね。
すなわち、、
人間以外の動物も私たちに似た感情を抱いているのか?
この問がイエスの場合(これは著者の見解でもある)、家畜産業や動物実験は倫理的に許されるのか?
この先の未来では到達するであろう人工知能に意識は発生するのか?
この問がイエスの場合(これも著者よ見解である)、そのロボットをいかにして制御すべきか?
皆さんならどのような考えを持つでしょうか??
いずれにしても、知的好奇心をくすぐられっぱなしの400ページ。
もしすでに読み終えている人がいたら朝まで語り合いたい!
そんな素晴らしい本でした。
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