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エイリアンズを聴きながら、とりとめのない話をする。

常備してあるアイスコーヒーが無くなったので、少し逡巡して、近くのコンビニまで買いに行くことに。
今日の東京の空は非常に不安定で、土砂降りが降ったかと思えば、雲の切れ間で一瞬晴れたり、その繰り返し。一応傘を持って家を出ましたが、幸いほとんど雨は降っていなかったので、また降り出す前に、足早に目的地へ向かいます。

じっとり湿度が高く、息をするのも少し重く感じる空気。不思議と道端に咲く名も知らぬ草花たちは、そんな日の方が生き生きしているように見えます。生垣の中では虫の音が響いていて、いつも通る道なのに、なんだか今日はこの景色の中で、私の存在だけが異物のよう。


無事コンビニで買い物を済ますと、先ほどより雨足が強くなっていて、傘をさす人もちらほら。私も足早に家路につきます。

細い道を抜け、住宅の間を縫うように抜け道を使って歩いていると、
正面の家の白い壁に、何かクリーム色の丸いものが目に入りました。
一瞬足を止めて確認してみると、そこには小さなカタツムリ。生き生きと、上を目指してゆっくり進んでいます。
きっと、彼らにとって今日のような湿度は、とても居心地が良い日に違いありません。
もうすぐ嵐が来るから飛ばされないようにね、と心の中でつぶやき、もう視界に入り始めている自宅のマンションへ再び足を進めます。


エントランスの前で、最後にもう一度曇り空を見上げた私の頭に、突然、
「泣かないでくれ ダーリン」
という声が、水滴とともに降ってきました。



「泣かないでくれ ダーリン ほら 月明かりが…」



キリンジの『エイリアンズ』という曲の一説。

突然頭の中を流れだしたメロディ。かれこれ1年くらい聴いていなかった、大好きな曲。



家に戻り手洗いも早々に、久しぶりに聴いてみることに。
曲を流し始めて冒頭で、ああなるほど、と何故この曲が突然降ってきたのか少しだけ分かったような気がしました。

イントロのアコースティックギターの甘いメロディが、しとしと降る柔らかい雨のように見え、それは先ほどの空と重なったのです。

優しく、切ない旋律が、見上げた時の一瞬の心の揺れにカチッとリンクして、私の頭はこの曲をチョイスして流したようでした。
(ときどきアレクサもびっくりなベストな選曲をしてくれます。)

歌詞は夜更けから朝方にかけての曲なので、夜の散歩でよく聴く曲でしたが、なるほど、歌詞に引っ張られず旋律のイメージで曲を捉えるのも面白いものだな、と自分の知らない新たな一面に出会った気がします。


エイリアンズを聴きながら、アイスコーヒーを飲む静かな午後。
今日はそんな、少し切ない、しっとりした一日。


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