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「やっぱりもっと褒めないといけないんでしょうか?」~部下育成の現場からの話~

こんにちは、お金が入るでかねいりです。

部下を育成する中で、「どう褒めればいいか?」という課題を耳にすることがあります。

今日はこの「褒める」というアクションについて考えてみたことをお伝えできればと思います。

■褒めないとやる気は上がらない?

先日、ある会社の管理職の集まる会議に参加していたところ、部下の育成に課題を感じているという発言がありました。

具体的には、「どうやって部下のやる気を上げれば良いかがわからない」、「やっぱりもっと褒めないとだめなのでしょうか?」という発言がありました。

さらには「自分の部下はまわりと比べて成果をあげていない」、「良い結果が出ていないので褒められない」、「褒める機会がほとんどない」ということでした。

この話は、実はこの会社に限らず、管理職の方々からよく出てくるお話です。

「褒める」についてよく聞くことを整理すると・・・

・褒める目的は、やる気をあげてもらうため。
・まわりと比べてできていることを褒める。
・良い結果が出ないと褒められない。だから機会が少ない。

ということ。

しかし、これは間違った認識だと考えます。

■何のために褒めるのか?

スポーツのコーチが選手を褒めている姿を想像してみてください。

例えば、野球のピッチャー。ピッチングフォームの練習している選手の姿を見て、コーチは「以前よりもフォームが良くなってきているよ」と褒める。

例えば、サッカーのチーム。チーム練習の中で、掲げている戦術の動きに近づいてきたときに「形ができてきている、いいぞ」と褒める。

スポーツのコーチが褒める目的は、目指す姿に対して近づいていることを伝えるため

スポーツのコーチの行動は、結果として、それは選手のやる気を上げるかもしれませんが、やる気を上げることを目的にしていません

スポーツのコーチの行動は、誰かと比べるものでもありません。その選手・チーム自体にフォーカスをあててています。

スポーツのコーチは、良い結果が出ていなくても、成長の過程を見て、正しい道を歩んでいるかを見ています

これをビジネス・仕事で置き換えてみると・・・

・褒める目的は、部下が目指す姿に近づいていることを伝えるため。
・他の社員と比べない。その社員や仕事にフォーカスをあてる。
・良い結果が出ていなくても、目指す姿に少しでも成長しているのであれば、その成長した部分を伝える。

そう考えた際に、上司の役割って何なんだと考えると、「部下の成長を促すこと」と言えそうです。

さらに言えば、「成長することが楽しい・おもしろいという体験をしてもらう機会をつくること」とも言えるのではないでしょうか。

■スポーツのコーチにみる良い褒め方

では、上司は具体的に何をするべきでしょうか?

再び、スポーツのコーチを想像してみましょう。

コーチが選手を理想の姿に近づいていることを伝える(褒める)ためには、まずコーチがその選手の理想とする姿を描くとともに、選手自身の目指したい姿とすり合わせることを行います。

その上で、どうなりたいのかという具体的な目標を決める

その目標に向けて、練習方法を考えて、メニュー(負荷・頻度など)を決めて、実施し、成長している点を伝える

という流れになります。

これをビジネス・仕事に置き換えると

上司が部下の理想とする姿を描くとともに、部下自身の目指したい姿とすり合わせを行なう。

その上で部下自身がどうなりたいかの具体的な目標を決める

その目標に向けて、実際の仕事に取んでもらい、その状況を共有して、「成長している点=小さな変化」を伝える

という流れになるかと思います。

この一連のことを上司が部下にしたとすると、部下はこう感じるはずです。「褒められた」と。

■やる気を上げてもらうためだけに褒めると・・・

一方で、上記のことが成されていない状態で、ただ単にやる気を上げてもらうためだけに褒めるという行動を上司が取ったとしましょう。

その際に部下はこう感じるはずです。「おだてられた」と。

「おだてる」ということを部下にしていると部下はどうなるか?

上司のことを信頼しなくなっていく。
さらに言えば見下すようになっていく。

なぜか?

「この発言は、上司都合で言っているんだろうな。おだてて、仕事を進めてほしいと思っているだなと、そうはいかないよ。」と思われるから。

「褒めてる」ようで「おだてる」になっていたら、危険信号

整理すると、褒めるためには、
・部下のなりたい姿をすり合わせて目標を決める
・まわりと比べずに、部下本人の小さな変化を見つけて伝える
そして、このプロセスを通して、成長することが楽しいと実感させる。

ぜひ、部下をうまく褒めて、良い職場環境がつくられると自分も嬉しく思います。

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