金子浩久書店

「10年10万キロストーリー」「ユーラシア横断1万5000キロ」などのモータリングライ…

金子浩久書店

「10年10万キロストーリー」「ユーラシア横断1万5000キロ」などのモータリングライター金子浩久。ホームページhttps://www.kaneko-hirohisa.comも覗いてみて下さい。

マガジン

  • 10年10万kmストーリー

    1台のクルマに10年もしくは10万km以上乗り続けている愛車物語。マニアでも、マニアでない人でも、クルマに乗り続けるとそこにはオーナーの人生が投影されていきます。毎月、僕がオーナーを訪ねていきます。自薦、他薦など大歓迎!

  • 試乗ノート

    新型車やビンテージカーなどに試乗した時にノートに記したことと、帰宅して考えたことなどを手短に。

  • Modern Classic Car Owners

    イギリス『TopGear』誌の香港&中国&台湾版に寄稿した日本のモダンクラシックカーオーナーの記事の日本語オリジナル版。

  • インタビュー、提言、評価、総括など

    式場壮吉インタビューやあおり運転を避けられる運転など、他のマガジンに納めていない自動車に関する記事を読むことができます。

  • スーパーカー西遊記

    2014年8月に中国の西安から敦煌までの現代のシルクロードを、中国のお金持ちたちと一緒にマクラーレン650Sで10日間走った紀行。

最近の記事

10年10万kmストーリー 第92回 予定調和的なオリジナル至上主義に陥っていない ポルシェ911カレラ(1995年)25年4万km

 ポルシェ911のような長く造り続けられているクルマにはファンも多く、乗り続けている理由も人それぞれだ。空冷エンジンを積んでいる1995年の911カレラに25年4万km乗り続けているオーナーさんに会った。  自宅ガレージの壁には、さまざまなイベントに参加した際のゼッケンが何枚も貼られていて、大きな棚にはパーツや補修用品などが収まっていた。隣にはMINIが停まっていて、日常的な用途ではこちらに乗っている。  助手席に乗せてもらって、走り出した。シートがレカロ製のものに交換さ

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    • クルマはすべて三越の外商から。工場には一度も行ったことがない。10年10万kmストーリー 第91回 デイムラー・ダブルシックス(1991年)32年8万2000km

       往年のデイムラー・ダブルシックスを新車から32年8万2000km乗り続けている85歳の女性オーナーと知り合うことができた。  そのダブルシックスの存在については、以前にこの連載に登場してくれたアイスブルーのポルシェ911のオーナー(https://note.com/kanekohirohisa/n/nca5bedb44087?magazine_key=m9fb19d167f3a)から聞いていたのだ。  散歩の途中で眼にしていて、気になっていたらしい。先日も前を通り掛かっ

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      • 30年の“サプライズ” 10年10万kmストーリー第90回 ランチア・デルタ インテグラーレ エヴォルツィオーネ2(1993年)30年8万8000km

         生まれて初めて、“サプライズ”プレゼントの手伝いをした。  おそらく父親が予期していないはずの“記念日”に家族が贈り物をして驚かせながら喜んでもらおうという趣向で、かなり手が込んでいた。  父親がランチア・デルタ インテグラーレ エヴォルツィオーネ2を新車から30年近く乗り続けているので、首謀者である息子が密かにイタリアのランチアに生産証明書の発行を申請し、それを家族が父親に直接に手渡そうというものだった。  それだけでなく、イタリアで生産され日本に輸入されてガレージ

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        • 戒厳令下の韓国の高速道路で最高速トライアル 10年10万kmストーリー第89回 BMW740i(2000年)18年15万5000km

           今から40年ぐらい前の東西冷戦期のエピソードを思い出した。 「ヨーロッパ各国の高速道路は共産圏諸国との戦争に備えて、高速道路の直線部分をいつでも軍用機の滑走路に転用できるように造られている。幅が広く、傾斜を付けず、建物が接近しておらず、橋などが架けられていないところのことだから、すぐにわかる」  東ドイツと国境を接していた当時の西ドイツや中立国のスウェーデンなどに多い、と聞いたり読んだりしたことを憶えている。  その頃は、まだヨーロッパに行ったことがなかったけれども、

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        • 10年10万kmストーリー
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        • 試乗ノート
          17本
        • Modern Classic Car Owners
          33本
        • インタビュー、提言、評価、総括など
          5本
        • スーパーカー西遊記
          4本

        記事

          実用性と高性能を両立させるというコンセプトは健在 試乗ノート#17 フォルクスワーゲン ゴルフGTI

          ・初代から続く、ゴルフのスポーティ版。ノーマル版ゴルフの2ボックス型ボディの使いやすさ、合理性などを損なうことなく、強化されたエンジンと足回りを組み込み、実用性とスポーティドライビングを高次元で両立させるというコンセプトは不変。 ・多くのフォロワーを生み出した。 ・速さだけならば、途中から設定された4輪駆動化されて6気筒エンジンを搭載する「ゴルフR」の方が速い。しかし、高出力化した横置き4気筒エンジンで前輪を駆動するというGTIのフォーマットは、この8代目まで変わらない。

          実用性と高性能を両立させるというコンセプトは健在 試乗ノート#17 フォルクスワーゲン ゴルフGTI

          エフアールの後ろから押されていく感じが好きです。10年10万kmストーリー 第88回 BMW 118d(2017年) 6年14万9000km

           東京の神保町にあるシェア型リアル書店「PASSAGE」に、僕も棚を一つ借りて「金子浩久書店」を営業している。自著の他、クルマに関する蔵書を並べて売っている。  良い本でも、読み終わったり、原稿の参考にし終わった本を死蔵してしまうのではなくて、その魅力を少しでも他の人と分かち合うことができたら良いのではないか?  そんな動機から始めた。ここは面白いシステムをいろいろと展開していて、中でも“一日店長”は前からやってみたかった。名前の通り、店頭に立って来店客の対応を行うのだ。

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          エフアールの後ろから押されていく感じが好きです。10年10…

          ロータリーにこだわるのは、このクルマでなくても良かった 試乗ノート#16 マツダ MX-30 Rotary-EV

          ・この観音開きの5人乗りボディとプラットフォームを使って、MHEV(マイルドハイブリッド車)、EV(電気自動車)、そしてこのPHEV(プラグインハイブリッド車)を造り分けている。 ・パワートレインを使い分けているクルマは他にもある。最近の例ならば、BMW X1。 ・このクルマのPHEVは、シリーズハイブリッドという方式を採用していて、ロータリーエンジンは発電だけを担っている。 ・10年ぐらい前に、ロータリーエンジンを横に倒してデミオのリアシート下に置いたプロトタイプに試

          ロータリーにこだわるのは、このクルマでなくても良かった 試乗ノート#16 マツダ MX-30 Rotary-EV

          ホンダらしさは薄味 試乗ノート#15 ホンダZR-V e:HEV Z

          ・ホンダの中型SUV。2.0リッター4気筒エンジンにモーターが組み合わせられたハイブリッドで前輪を駆動する。 ・「ヴェゼル」より大きく、すでになき「CR-V」と入れ替わりか? X 捉えどころのないスタイル。部分ごとに、他のクルマを思い出してしまう。 ・4輪駆動版もあれば、エンジン車の前輪駆動版と4輪駆動版もある。 ○ホンダ独特のシフトボタンは良く考えれている。使いやすく、誤選択も起きにくいはず。リバースは後端を指で引っ掛けて持ち上げる。 X タイヤノイズ大きい。40

          ホンダらしさは薄味 試乗ノート#15 ホンダZR-V e:HEV Z

          百の仕事のための軽トラック 10年10万kmストーリー 第87回 ダイハツ・ハイゼットトラック(2007年)15年13万3000km

           あらかじめ伝えられていた自宅の隣の広い駐車場に、15年13万3000km乗り続けられているダイハツ・ハイゼットトラックは駐まっていた。  その隣に、仕事に使っている赤帽仕様のスバル・サンバーも駐まっているから、ここで間違いない。オーナーさんは、まだ家にいるのだろう。  しかし、困った。  ハイゼットトラックの左前タイヤがペチャンコで、車体が傾いてしまっている。パンクしたのか、あるいは空気が抜けてしまったのか?  どちらにしても、連載を続けてきてこんなことは初めてだ。

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          痛快! でも、絶対に勧められない残念点あり 試乗ノート#14 アバルト500e カブリオレ

          ・アバルトのEV(電気自動車)。フロントに積んだモーターで前輪を駆動する。 ○ 元となり、多くを共用しているフィアット500eよりも出力が37馬力高い155馬力。その分、速い。首都高速での60km/hから100km/hへの加速が鋭く、痛快。 ○ 床下にバッテリーを搭載している重さによって、走行中の姿勢が安定している。エンジン車時代は、つねにヒョコヒョコと揺れて落ち着きがなかった。 ○ 電動キャンバストップはフルオープンとハーフオープンと全閉の3段階。開閉も速い。 ○

          痛快! でも、絶対に勧められない残念点あり 試乗ノート#14 アバルト500e カブリオレ

          美を追い求めながらも、車中泊の旅に出た。10年10万kmストーリー 第86回 日産シルビア(1968年)43年4万5000km

           東京都内でも、あちこちで道が新しくなっている。計画から何十年を掛けて作られる新しい道もあれば、元の道が広くきれいに拡幅されるところもある。  国道246号を下って、環七を過ぎ、三軒茶屋を越えた先で交差する道は、たしか以前は細い一方通行だったように憶えている。それが両方向通行に拡幅され、電線も地中化されている。両方同時に行われたので、一気に広く明るくなった感じがする。通りの名前も変わったようだ。  しばらく進んだ奥に、初代の日産シルビアのオーナーさんの家があると聞いてきた

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          「ただ可愛いだけでなく、速さというポテンシャルを秘めているところも魅力です」 アバルト・ビアルベーロ 1000

           2020年12月31日、一年の最後の日となる大晦日に東京の崎山自動車サーヴィスの工場は昼から多くの人々で賑わっていた。  社長の崎山和雄さんが77歳の高齢を理由に、この日を最後に工場を閉めて引退する。それを労うために、顧客と関係者たちを集めて小宴が催されたのだ。働いていた工員たちは、他の自動車修理工場へ転職することも決まっている。  崎山自動車には、僕も世話になったので工場に駆け付けた。工場のあるのは東京の中心地の港区三田5丁目だ。三田という街は古くから武家屋敷や寺など

          「ただ可愛いだけでなく、速さというポテンシャルを秘めているところも魅力です」 アバルト・ビアルベーロ 1000

          せっかくのEVなのに、コンサバでもったいない 試乗ノート#13 レクサス RZ450e “Version L”

          ○ 舗装の良い平滑な路面では、クルマが重いことを活用して、フラットで安定感がある。 X 硬すぎる乗り心地。重たいバッテリーを積んでいるEVの半ば宿命でもあるのだが、段差や路面の凹凸を乗り越える際のショックがサスペンションで吸収され切れず、そのまま伝わってくる。首都高速上の舗装の切り替え金具や、トヨタ東京本社への車道からの入り口の段差を極低速で乗り越える際にも、ビシッと頭の天辺まで突き抜けるような鋭いショックに見舞われる。 X 速度を上げると、車内がうるさくなる。タイヤと路

          せっかくのEVなのに、コンサバでもったいない 試乗ノート#13 レクサス RZ450e “Version L”

          ある種の嗜好を有している人たちには大歓迎されるだろう 試乗ノート#12 レクサスLMプロトタイプ

          ・中国やアジアでは販売されていたレクサスのミニバンの2代目「LM」が国内に投入される。 ・2023年秋に発売予定。 ○まるで国際線ファーストクラスの個室キャビンのような後席。まさに“キャビン”そのもの。 ・前席はパーティションで後席と隔絶され、ただただ運転するためだけの席。家族や友人たちと出掛けるのに、ここに座りたい人はいないだろう。 ・いくら、パーティションの“窓”は下ろしたり透過させたりすることができるとはいっても、確固とした壁で分断されている。前と後ろでは世界が

          ある種の嗜好を有している人たちには大歓迎されるだろう 試乗ノート#12 レクサスLMプロトタイプ

          「旧車に乗っている障害者なんていませんから」 10年10万kmストーリー 第85回 フォルクスワーゲン・ビートル(1968年) 10年4万1000km

           自分がクルマ椅子に乗る生活を送るようになった時に、クルマを運転する姿を想像することができるだろうか?  僕は入院中に2週間クルマ椅子に乗っていたことがあるけれども、退院後にはクルマ椅子は使わなかった。  ずいぶん以前に、この「10年10万kmストーリー」に登場いただいた、ホンダ・アコードエアロデッキのオーナー男性は、日常ではクルマ椅子を使っていた。  クルマ椅子からエアロデッキに乗り移るところを見せてもらったことがある。まず、運転席に移り座った後、クルマ椅子を畳んで自分の上

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          「旧車に乗っている障害者なんていませんから」 10年10万k…

          ミニバンに何を期待するのか、しないのか? 試乗ノート#11 トヨタ・アルファード、ヴェルファイア

          ○ ハイブリッド版のEVモードは静かで良い。ハイブリッド版を知ってしまうとエンジン版を積極的に選ぶ理由を見出せなくなる。 X 後席に乗るには2段上がりながら奥に踏み込まなければならない。厚いスライドドアも手前側にセリ出てくるので、その分いったん後ろに下がってから入るから、乗車しにくい。シートが奥に感じる。 X 最近の都営バスをはじめとする乗合バスにノンステップフロアのものが増えているように、乗車時に上がったり降りたりさせないようにしている。その考え方と逆行している。乗せる

          ミニバンに何を期待するのか、しないのか? 試乗ノート#11 トヨタ・アルファード、ヴェルファイア