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読了『ど忘れ書道』

こんにちは、ヒノカンです。
読了スピードと感想noteを書くスピードが間に合っていません。

いつか貯めた分、ドドドッと更新したいと思いながら、読んだ本の熱気を保温するために、読書に付箋が欠かせません。

さて、今回は『ど忘れ書道』

表紙のカラフルさと文字のインパクト。
きわめつけは、
「何の役にも立ちません」という、
本が役に立たないことを著者が証明しちゃっているという、ぶっとびさ。

内容は、
著者のいとうせいこうさんが、ど忘れした言葉を、書道で書いて記録するというもの。ど忘れした経緯と、どうやって思い出したかが細かく書かれている。

どうやって思い出したかが、カオス

必死に思い出そうとしても、頭の中の記憶にないのでもがき、しどろもどろになりながら、答えを探す。
答えを見つけた瞬間、「こんな言葉も思い出せなかったのか」と、自省するいとうさん。

自分自身でボケとツッコミをしているから、読書していながら、
いとうさんがあたふたしている漫才を見ているようである。

例えば、「ヒモノ女」が思い出せず「スルメ女」と口にしてしまった時、

噛めば噛むほど味の出る女だろうか(大文字表記)。
 そして数日後、同じように「ヒモノ女」を思い出したい、というか記憶を確かめたいと願った私は今度は「火鉢女」と言っていた。ゆっくりあたたまっていて、最後にはカンカンに燃える女だろうか(大文字表記)

 ど忘れした言葉で、ボケて、それに「何でそんな言葉になるねん」とツッコンでいる。そういう、漫才が本の中にいっぱいあって何度も「ブフォw」と吹き出し笑いしてしまった。

 しかし、確かに、
「頭に引っかかっているんだけど言葉が出てこない」
 というときは、いとうさんが書くように、自分の頭の中を駆けずり回りあたふたしながら、ああでもないこうでもないと考えている。

 ど忘れって誰にでもあるもん。

 私もあるもん。

 この前、「りくろーおじさん」が思い出せなかった。関西限定の、フワッフワのチーズケーキのお店の名前で、定期的にここのチーズケーキを頬張りたくなって、話題にしようと思っていた。
 だけど、「りくろーおじさん」と「ステラおばさん」と「ビアードパパ」がごっちゃになって、頭の中で誰が誰だかわからなくなっていた。
 「美味しいお菓子を作ってくれるおじいちゃんのアレ・・」となると、「ビアードパパ」か「リクローおじさん」でも、そもそもおじさんだっけおばさんだっけ、どっちでもいいなと、なる。

 こんな経験、誰だってある。
 しかし、誰だっていつでもありすぎるからこそ、気にも留めず、忘れていたことさえも忘れてしまう。
 忘れていたら、文明の機器に頼ってググっちゃえばいいんだし。

 しかし、いとうさんは、忘れたことをしっかりと記録する。
 しかも、忘れてもググらず、自分は何を思い出そうか、頭の中のこんがらがった糸を解くかのように丁寧に思い出す。(ちなみに、「禁断のネット検索」と書かれていることから、ググることはいとうさんにはルール違反みたい)

 この本を読んで思ったことは、

「ど忘れって恥じるべきじゃない!」

ってこと!誰でもど忘れはして、必死に思い出そうとする。
 ど忘れって、恥ずかしいし、老化かも、、、って背筋が寒くなってしまう。しかも、「なんやっけ、なんやっけ、」と言って思い出そうとするときのムズムズ感が心地悪い。
 いとうさんも、ど忘れしても、ど忘れであることを相手に察せられないように誤魔化したりしている。「如実」という言葉が思い出せなかったとき、

「如実ね」「如来じゃなくてね」「如実如来みたいなね」

  と誤魔化しのような駄洒落を言っている。

 しかし、ど忘れは誰しもあり得るならば隠すべきじゃない気がする。ど忘れワードを忘れて思い出したときの快感は、アハ体験みたいにスッキリするし。

 年齢とともに、ど忘れは多くなる。私の母は、1時間に一個ど忘れしている。いつも烏丸のことを「からすまる」って言うし。
 超高齢社会になるということは、おじいちゃんとおばあちゃんが増える。老化・・・ということで、日本人の日常の会話にど忘れが多くなる。
 ど忘れは、恥じるべきでなく、「アハハ!また忘れてたわ」と笑いのタネにすべきじゃないだろうか。そして思い出せるように、まるでクイズのように話題の中で「あれじゃなかった?」「ちゃうちゃう、こうやって!」と思い出すのも楽しいのではないだろうか。思い出そうと頭を動かしているとき、脳の活性化に繋がると思うし(詳しいことは知らんけど)。

 ・・・・という感じに、ド忘れについて深くも考えさせてもらえ、いとうさんのドタバタド忘れ劇に終始笑いっぱなしの1冊でした。

 それにしても、いとうさん、忘れすぎです!(笑)

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『ど忘れ書道』 いとうせいこう
ミシマ社  ¥1600+tax
公式ページ


追伸
SNSであなたのど忘れを募集されていたようですが、、

ああああ!!!40分ほど遅かった!!!笑 サイト

ど忘れ???・・・・ただのミスやわ汗

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