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夏の入道雲から一句

山あいに夏雲がわく青空へ


そのまま、目にしたとおりの一句です。
でも、ちゃんと目を閉じて考えました。
なぜか、俳句を考えるとき、目を閉じてしまうのです。

当初は、「縦長だった入道雲が形を変えて横になったら、山を抱えているように見えた」ことを「夏の雲、山を抱える」で表現したかったのですが、あと5文字が広がりませんでした。

一方、頭にぱっと浮かんだ一句も、自分の中ではお気に入りです。
「山あいにむくむくわくよ夏の雲」と頭に浮かんだとおりの17文字ながら、これはこれで捨てがたく、ここに記すことにしました。

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「雲の峰」が夏の季語である入道雲と知ったばかりの私ですが、ちょっとずつ、生活の中に俳句が入り込んできています。

最近などはいつになく、今年の立秋(8月8日)が気になっていました。
というのも、入道雲からの句作を思いついたのが立秋直前で、その日を境に季語が変わることを意識したからです。

そのため、立秋の夜、歯を磨いている最中に秋の虫の声を耳にしたときは「立秋の日に秋がきた!」と感動のあまり、「秋の虫立秋すぎたら鳴きだすよ」などと、標語みたいな俳句が出てくるまでになりました。

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通勤途中のバスの窓からも、俳句の題材が飛び込んできます。
元気な子どもたちの夏休みが始まった頃。3人の子が路地裏に向かって自転車をこいでいく姿に「子どもの時間」を強く感じて、今しがた目にしたばかりの様子を17文字にしてみたくなったのです。
結果、力及ばず俳句にはできなかったものの、その手前の鼓動を残しておきたい一心からの備忘録となりました。

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思いつくまま気のむくままを”つらつら”文字にしていたら、収拾がつかなくなってしまいましたので、この夏出会った一句で終わりにしようと思います。私のnoteのマガジン『my俳句あれこれ』では「自分の句は自分の句」「他者の句は他者の句」と線引きして記事を作成予定が、今回ばかりはそんな事情あっての例外ということで……。

雲の峰風なき海を渡りけり
夏目漱石


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