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成長し続ける53歳。公務員から転職、会社員1年目。

35歳、転職限界説。
一度は、定説の通り、転職をあきらめた。

そして、53歳。官民連携事業研究所で
会社員人生をスタートさせた
加藤勝(かとう まさる)さんが、本noteの主人公。

なぜ老後まで見通せる、安定の公務員生活を手放し
新たな道に踏み出したのか?

安泰のエスカレーターを降りる

池田(インタビュワー):加藤さんは、元々公務員だったんですよね。

加藤:そうです、28年間、岩手県の盛岡市役所に勤めました

池田:ものすごく「安泰」そうに見えますが、どうして辞められたんですか?

加藤:そうですね。安泰、磐石、堅実なキャリアでした。
まさに、エスカレーターを登っているような。残りの公務員生活はもちろん、老後の年金生活まで、なんとなく自分の人生が見えていましたね。でも、思ったんです。

これって、やりたいことなのかな、って。

いまは定年後の年金生活も崩壊しかかっているし。
これは、このまま動かないほうが、リスクだな、と。

自分で階段を登るか、新たな道をつくるのか、エスカレーターを降りたほうがいいな、と思ったんです。

池田:もともと転職を考えていたんですか?

加藤:若い頃から、転職願望はあったんです。

ただ、表には出しませんでした。公務員になった頃は、就職氷河期で。転職が難しい状況だった上「転職35歳限界説」とも言われていて。

池田:35歳を過ぎると、もう転職できないよ、ということですか?

加藤:そうです。

そんな世の中だったので、自分も35歳を過ぎたあたりに「もう終わったな」と悟りました。

子どももできて、家族がいるし、住宅ローンもある。もう「公務員のエスカレーター」を登るしかない、と思ってましたね。

池田:たしかに、35歳頃って、ライフイベントが重なって、転職が難しくなる時ですね。

加藤:そうなんです。結局、52才まで、そのままエスカレーターを上がりました。

池田:本当に最近ですね。

加藤:そうです。でも、コロナになってからかな、ちょっと冷静になって周りを見渡してみたんです。そしたら、状況がだいぶ変わってることに気づいたんですよ。

池田:というと?

加藤:「1つの場所で、経験とスキルを積む」ではなく「転職をしながらキャリアを積んでいくこと」が当たり前になってました。
リモートワークの普及で、地方にいても、東京や大阪に就職できるようになったのも大きな変化ですね。

池田:たしかに。

加藤:あれ、若い頃とぜんぜん状況が変わってるじゃないか、と。35歳の時は、転職を環境が許さなかったけれど、今は自分次第かもしれない。

自分さえその気になって、チャレンジすれば
道は開けるな
と思ったんです。

ガチで転職活動したんです

池田:それで、転職活動に向けて、動き出したんですか?

加藤:そうそう、ガチで転職活動しましたよ。ビズリーチ!とかね。そして、とっても苦労しました。

転職が当たり前になったとはいえ、公務員という「転職しない」ことが当たり前の世界で生きてきた人間に、転職市場は甘くなかったです。

池田:苦労というと、どんな感じだったんですか?

加藤:単純に、落ちまくりました。まぁ、エージェントの方の勧めで、とにかく数打ちゃ当たる、でエントリーしまくっていたから、でもあるんですが。

池田:なるほど。では、どんな経緯で、いま働かれている、官民連携事業研究所に行き着いたんですか?

加藤:代表の鷲見さんと、盛岡市役所の加藤として仕事したことがあったんです。その繋がりで、転職活動中もお会いする機会があって。
転職を考えていることを話したら「じゃあうちに来ませんか?」と話をもらいました。

それで、もうこれはご縁かなと思ったんです。

知っている人と働けることも嬉しかったですし、「官民連携」という分野も、今までの経験を活かしつつ、新しいことにも挑戦できる、自分にはバランスが良い分野だと思いました。

会社員になった、いまの働き方

池田:公務員時代と変わらず、お住まいは岩手なんですか?

加藤:そうです、変わらず盛岡に住んでます。
完全にリモートワークで、仕事がある時だけ、都内やその他の地域に出張してる、という感じですね。

池田:仕事内容としては、どんなことをされているんですか?

加藤:そうですね、まず大前提、官民連携事業研究所は、企業と自治体の間に立って、双方が連携してビジネスを行うお手伝いをしています。

私は、元公務員というバックグラウンドを活かして、自治体と連携したいという企業さんの相談に乗っています。

池田:相談というと、どんな風に相談が来るんですか?

加藤:そうですね、大きく2つですかね。ひとつは「〇〇という商材を活かして△△課題を解決したいので、相性が良さそうな自治体と繋いでもらえないか?」という相談。

この相談には、公務員時代のネットワークから、適任の自治体・担当者を紹介したり、提案を持っていくタイミングについて、アドバイスをお伝えしたりします。ズレた部署や、予算が使いづらい時期に話を持っていくと、門前払いをされてしまうこともあるので。

もうひとつの相談パターンは「自治体と一緒に取り組みがしたいけれど、どうしたらいいだろうか?」という相談。

この場合は、企業さんの特徴や商材について、詳しくヒアリングして。自分の持っている、自治体のお困りごとリストと照らし合わせて、双方の素材をどうやって組み合わせたら、事業化できそうか"お料理"します。

池田:お困りごとリストっていうと?

加藤:例えば「高齢者」というテーマ一つとっても、買い物難民、独居老人、空き家問題、と自治体には解決したい課題が複数あり、さらに優先順位があります。このデータと、企業の特徴や商材を机に並べて、どの課題に対して、どの企業の側面をぶつけたら、相乗効果が生まれるだろうか?って、考えるんです。

池田:これは私のイメージかもしれないですが…
加藤さんのように、ここまで自治体の全体像を把握されている公務員の方って、多いものなんですか?専門的な部署に配属されて、そこでキャリアを積んでいらっしゃったら、こうはならないですよね。

加藤:そうですね、私は幸運にも「企画・政策」部署に長く居て。どの部署とも、やりとりがあるところだったんですよ。
だから、盛岡市、地域社会の課題感を、広く浅く、網羅できているかもしれません。

53歳、毎日が学び。これからの目標とは?

池田:いまのお仕事は、楽しいですか?

加藤:はい。特に、企業がどうやって事業を立てて、成り立たせていくのか?を間近に見て、勉強できるのが面白いです。今まで全く関わってこなかった分野なので、学びも大きいですね。

池田:経験を積み重ねても、常に成長、学ぶ姿勢がとても素敵です。加藤さんの今後も気になります。

加藤:そうですね、この会社も、定年までずっといるつもりはなくて。経験を積んだら、個人で取り組む、地域との関わりの中で、中高生が学び・成長していくプロジェクトを事業化したいです。

▼ 加藤さんが中高生と取り組む「ドリーム・シード・プロジェクト」

池田:さらにあたらしい道が開いていくんですね。

加藤さんのストーリーは、同じように、自治体や同じ組織で長く働いた後、新たな道を模索している方の勇気になるように感じます。

加藤さん自身は、どんな方と働きたいですか?

加藤:そうですね。対峙するクライアントと、一緒に成長したい・学びたいという気持ちがあればいいんじゃないか、と思います。

池田:まさに、加藤さんですね。

加藤 勝(かとう まさる) 経歴プロフィール

加藤 勝(かとう まさる)官民連携アクセラレータ

2004年岩手県盛岡市役所入庁。行政改革、東日本大震災復興支援、地方創生総合戦略、子ども子育て支援、道の駅整備など数多くの行政計画や市政の重要課題に携わる。2022年3月市長公室企画調整課長を最後に退職。2022年に㈱官民連携事業研究所に入社し現職。
盛岡市役所在職中から私的活動として、政策の評価・分析を行うNPO法人政策21に参画し、岩手県内の自治体の政策の評価業務などに従事。
また、プロボノ活動として、高校生の探究型学習をサポートする団体に参画。開発・運営に携わった 「対話型自治体経営シミュレーションゲーム」のプロジェクトで、2021年マニフェスト大賞優秀賞受賞。 著書に短編小説集『長袖とヘッドフォン』(エンジェルパサー)がある。

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ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

この記事が、読んでくださったみなさんの新たな一歩を踏み出すきっかけになれば、嬉しいです。

官民連携事業研究所では、一緒に働く仲間を募集しています。

また、解決したい地域課題を持つ自治体の方、自社のサービス・技術を活かしたい民間企業の方も、いつでも相談を受け付けています。
ぜひウェブサイトのお問い合わせ欄から、お気軽にお問い合わせください。

おまけ | 編集後記
加藤さんは、会社員だけではなく、他三足の草鞋を履いていた…

文中にも少し登場した、中高生との取り組みのほかに、加藤さんには、こんな素敵な顔がありましたので、ここに残しておきます。さらにnoteがもう一本書けそうです…

小説家でもある、加藤さん。小説を書き始めたきっかけは、東日本大震災後の映画制作。物語を紡ぐ才能が開花し「北の文学」に寄稿した短編小説が、6回連続入選。その後、優秀賞を受賞。2021年、東北の出版社 エンジェルパサーより、短編集『長袖とヘッドフォン』を出版。

公務員時代、大学院にも通い、自治体・政策を客観的に評価する目を養ったそう。研究室の教授と出版された本は、こちら。


制作協力:ヨリドコロ・アンド・パートナーズ(株)
インタビュワー:池田 史
ライティング・編集:松尾 明子

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