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山行

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山の記録
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【エッセイ】八ヶ岳とお酒と私

【エッセイ】八ヶ岳とお酒と私

 大型の台風が接近していた。週明けには上陸して、大荒れになるという。山行はもはや絶望的だった。

 そもそも北アルプスに行くつもりが、出遅れたせいで山小屋の予約が取れず、かと言って今更テントと食料を背負って登る自信もなく、八ヶ岳への転戦となった。それが台風接近だと?

 当日、激しい雨音に目が覚める。やはり無理かと予報を調べてみると山梨方面は晴れと出ている。天候は刻々と移り変わっている。

 新宿

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【エッセイ】八ヶ岳とお酒と私(続)

【エッセイ】八ヶ岳とお酒と私(続)

 文三郎道で私を追い抜いたのは、単独の女の子一人。降りて来てすれ違ったのは、単独男性二名に家族連れ一組。

 小学校低学年ぐらいの男の子に、
「山頂、ガスってるから気をつけて下さい!」と言われてしまった。マジか。こう見えても、おじさんはね、若い頃……。

 余程心配だったようで、その子は何度も振り返りながら、「頑張ってね!」と手を振った。

 のんびり休憩するフリを装いながら、心の底ではもう下山し

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【エッセイ】八ヶ岳とお酒と私(続々)

【エッセイ】八ヶ岳とお酒と私(続々)

 相部屋で一緒になった快活な若者は、「あと一時間くらいしたら、本格的に降ってきますから、今のうちに下山をしないと」と親切に教えてくれた。

「地蔵尾根ですか?」
「そうですね、昨日赤岳には登ったんで、僕はこのまま下山します」
「うーん、どうしようかな……」

 コーヒーなど飲んでなんとなくグスグズしているうちに、皆さっさと出発してしまった。重い腰を持ち上げると、脚はひどい筋肉痛である。でも、行ける

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【山行】雲取山 歩いて、休んで、また歩く

【山行】雲取山 歩いて、休んで、また歩く

 正月に雲取山へ行ってきました。東京の西(最)果て一泊二日の小屋泊まりです。

 久しぶりの雲取山、というか山。体力の衰えが著しい。

 けど、二日間で43.1㎞、69,804歩、612階分登りました。

 鍛え直します。

(了)

【山行】大菩薩嶺 久しぶりの雪山

【山行】大菩薩嶺 久しぶりの雪山

 二月の連休に大菩薩嶺に登ってきました。一泊二日の小屋泊まり。東京に雪が降れば、奥秩父あたりは大雪だろう……と。

 中里介山大先生の『大菩薩峠』は、読んだことないし、映画も観たことがないっす。

 そういえば(とは言っても、生まれる前)、大菩薩事件というのがあった。60年代後半、この辺りの山小屋に潜伏して、テロの訓練をしていた赤軍派が一斉検挙されたのである。たしか若松孝二監督の映画『実録・連合赤

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