【連載】無為のひと⑧ひとつの結末
マスターは退院した後、リハビリどころか、定期検診にすら通わなかったという。金の問題もあったかもしれないが、単に面倒くさかったのだろう。店が潰れ、妹の尽力で生活保護を受給するようになって、何もしなくても良くなり、何もすることがなくなると、本当に何もしなくなった。いや、元々無精者でだらしのないところがあって、そこが母性本能をくすぐるというか、かつては女の人に「わたしがいないと駄目」なんて思わせたものなんだろうが、炊事・洗濯・掃除など一切の家事どころか、入浴もしなくなった。離婚し