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あらゆるオタクジャンルに通ずる『まじないの文化史』

こんにちは、神崎翼です。

本日の読書は、あらゆるジャンルのオタクたちにお勧めしたいこちらの本。

『まじないの文化史』
(新潟県立歴史博物館監修/2020.5/河出書房新社)

呪い、祈禱、結界、疫病除け…。古代から現代まで続く日本の呪術。身近にありながら、意外にそのルーツを知らない様々なまじないを、おふだとの関連から読み解く。新潟県立歴史博物館の2016年の企画展の図録を基に書籍化。(商品説明より引用)

呪いとか結界とか陰陽師とか、日本のオタクは絶対この本を開けば最低一つは「あ、これ知ってる」となること請け合いの本だなあと読みつつ思いました。

鬼や呪術など、日本古来の文化を主軸に据えた漫画が流行ったり、感染病の影響でアマビエ様が流行ったり、なんだかんだ今も昔もまじないと共に生きている日本人。平安時代には呪詛に対する刑罰まであって、本だと『平安時代呪詛事件ファイル』なんて形で紹介されていました。

個人的に一番勉強になったのは、「急々如律令」という文言はもともと呪文ではなかったという話。「急々に律令(法律)の如くに行え」という意味で、古代中国の行政文書で速やかに命令が実現されるようにという意味で用いられていた定型句だったそうです。日本に伝わって呪符の決め言葉として定着したらしいですが、政と呪の境目のなさが日本らしくて納得です。

あと、令和一有名な妖怪といっても過言ではない「アマビエ」様についても記載がありました。

弘化三年(1846)には肥後国にアマビエなる妖怪が現れ、当年より六年間は豊作だが、病が流行するのでその姿を写して人びとに見せるようにといったとされ、瓦版などにより江戸にまで伝えられたという。(P.57トピックス『妖怪の絵で疫病除け?』より)

肥後国は今でいう九州の熊本県あたり。そこから江戸(東京)まで、ネットも何もなかった当時では凄まじい拡散域です。現代ではネットの海を越えて海外にまで躍進を遂げたアマビエ様。まじないの底力を感じますね。

これ、もともとは新潟県立歴史博物館で2016年に行われた企画展だったらしいです。それが書籍化されて、流行り病で混沌とする2020年に世に再登場したというのは、何かご縁を感じますね。

誰かの不安を増大させたり、あるいは不安を取り除く、のろいにまじない。その歴史を紐解いて、不安との付き合い方を探ってみるのも、一興じゃないでしょうか。

それでは、本日の読書は以上。
次の読書記録で会いましょう。

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