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アドバイスに使ってみたい漫画の名言⑧ ~『MASTER KEATON』~(なぜ勉強しないといけないのかに対して…)

教員という職業についていると、少なからずに生徒たちに

「なぜ、こんな勉強しないといけないのか?」

という質問をされることがあります。

そのとき、私は待ってましたとばかりに
愛読書である『MASTER KEATON』(浦沢直樹箸)の名言

「それが人間の使命だからです」

と、ドヤ顔で回答するんですが、
大抵の場合はキョトンとされるだけになってしまいます。

『MASTER KEATON』という漫画も知らないし、
その名言の背景情報もわかっていないので
突然、人間の使命という規模の大きい話をされれば、
生徒たちがフリーズしてしまうのは当然でしょう。

ただ私がこの名言を言いたかっただけというのが一番の理由ですが、

今まで

「なぜ勉強しないといけないのか?」

という質問してきた生徒は、私の経験上(個人の感想)、

・勉強をしたくないことを前提としている
・学校の授業で学ぶ内容は将来的に意味がない、
 役に立たないものだと思い込んでいるため
 勉強しなくていいと質問前から結論づけている
・教師の説明を反論することで、勉強に意味がないことの理由を強化する

と感じられる場合が多く、
もし私が細かな例をあげて、いかに勉強が大切かを説明したとしても、
あくまでその説明は私個人に当てはまる理由なので
納得させることが非常に難しいというのが本音です。

実際、私が教員になりたての頃は、
真っ向からその質問に対応し、生徒の特性を考えて、
様々な例をあげながら説得を試みましたが、
その思いが通じることはほとんどなく、
逆に悉く論破され、生徒の心変わりを促すことができず、
忸怩たる思いを何度もしました

そのような経験を重ねることによって、本来

「なぜ勉強しないといけないのか?」

という回答は

他人から与えられるものではなく、生徒自身が見つけなければならない答え

なのであって、
そもそも私が生徒の勉強をするための理由づけをすること自体、
おこがましいと気づかされました。

だから

「なぜ勉強しないといけないのか?」

に対して

「それが人間の使命だからです」

という『MASTER KEATON』の名言でキョトンとさせるとともに

「勉強する理由でも何でも、あなたが何かをするときの理由は
 あなた自身が見つけなければなりません。
 アドバイスはできますが、私があなたの理由を決めることはできません。
 私が決めても納得しないでしょう。
 私個人としては、勉強しないよりは、したほうがいいと思っています。」

というような内容を伝えるようになりました。
もちろんそこから、相談にのってほしいと願う生徒には丁寧に話を聞いて、
生徒自身が答えを導き出せるようにサポートしました。

ちなみにフルの名言はこちらです。

人間は一生、学び続けるべきです。
人間には知る喜び…好奇心がある。
肩書きや出世して大臣になるために学ぶのではないのです
では、なぜ学び続けるのでしょう。
それが人間の使命だからです。

『MASTER KEATON』より

楽しいから学ぶのであれば、
楽しくなくなれば学ばなくなるかもしれません。
楽しくないことがあってもそこを乗り越えることに楽しさがあると
達観するにはそれなりの経験が必要です。

生徒たちが真の意味で学び続けることの理由を見出すには、
使命という名の強制で、ある程度経験を積む必要があるのかもしれません。

「なぜ勉強しないといけないのか?」

この質問に悩まされている教員の方は多いと思います。
教える立場にあるからこそ、
その理由を学び続けることが、教員の使命といえるでしょう。


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