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授業中の姿勢 座る?立つ?歩く!?

学校の授業といえば、
教室で生徒が黒板に向かって椅子に座り、
机の上でノートをとって学習するというスタイルが普通です。
私自身もこのように学習してきました。
しかし、この普通の状態が果たして最適なのでしょうか?


私たちの脳は原始の時代の人類のものと、さほど変わらず、
脳が最もその機能を発揮するのは
生存、生命に関わる場合であるといわれています。

特に、原始の時代では、

東京タワーなどの目立った目印もない、
方位磁石も地図もない、
そして、危険な野生動物が身近に存在するため、

大自然の中を移動するだけで命懸けになります。

だから「移動」のときに、脳は活動的にならざるをえませんでした。

危険なポイントや食料調達できる場所など、
五感で得た情報を即座に処理し、記憶しなければ
簡単に命を落としてしまう状況であり、
生存の可能性を高めようと脳は脳で必死だったのでしょう。

現代ではそのような危険は減りましたが、
脳はあの頃のままで居続けており、
今でも移動するときにその力を発揮し、
私たちの記憶力を向上させています。

実際、エビデンスとして、人は移動すると
シータ波という記憶を促進させる脳波が出ることがわかっています。

しかもその移動は、歩いたり、走ったりするだけでなく、
バスや電車などに乗車しているときも脳は移動していると考え、
シータ波を出すようです。

私は教員の頃、このエビデンスを授業に生かせないかと考えました。
(中学校の数学を教えていました)
このとき小規模校に勤務しており、
1学年が10人未満という少人数であったため、
生徒に説明していろいろと試すことができました。

ただ、授業中、常時、教科書やノートをもって
歩きまわりながら授業を受けるというスタイルは、
効果的に運用する自信がなかったため実施することができませんでした。

そこで、授業の中の指導法の1つとして

・暗記したい内容(公式、定義、定理など)があるときに、
 つぶやきながら教室の中を歩きまわって覚える時間をとる

・集中力が切れそうなとき、気分転換に別の教室へ移動しながら授業する

などを実施してみました。

つぶやきながら教室内を歩きまわって覚えた内容は、
生徒たちの印象に残りやすかったのか、座って学習していたときより、
はるかに定着が早く、
しかも、忘れにくい状態が持続したように感じました。

一定の効果は感じられましたが、
毎回、記憶する内容の授業ばかりではないので、
なかなかうまく移動の効果を活用できませんでした。

授業中に歩きまわる状況をつくることが無理なのであれば、
それに近い状態、座ったまま授業を受けるより、
立ったまま授業が受けたほうがいいのではないかと考え、
早速、実施しました。

最初は、

(足がだるい…)
(しんどい…)

などの不満が多かったですが、何とかなだめながら継続することで、
その授業スタイルに慣れてくるようになりました。

個人の感想の域を出ませんが、
従来の座ったままの授業スタイルよりも立ったままの授業スタイルのほうが
学習効果が高かったように思います。

それは、計算などの基本的なスキルの習得が早くなり、
いろんなバリエーションの問題にチャレンジできる時間が生まれたことで、以前との違いを実感できたからです。

また、
宿題でわからなかったと嘆いていた生徒が、
いざ授業が始まって立った状態で宿題の類似問題に取り組んだとき、
立つという行為が記憶の扉を開くカギとなったのか、
学習したことを思い出し、あっという間に解答できたという状況も、
その効果ではないかと考えています。

記憶を呼び起こすきっかけづくりを授業の中に取り入れることは重要で、
立ったままの授業スタイルがその1つになるのではないかと思いました。

以上のことから、
この立ったままの授業スタイルを小規模の学校だけではなく、
40人学級でも運用できるようになれば一定の効果が得られるのではないかと期待したいところです。

そこで考えなければならないのは

・立ったままで授業が受けられる机はどうするのかという備品の問題

・立ったままで授業をすることで落ち着きのない生徒が増え、
 授業が成立しない可能性があるという指導の問題

です。

金銭的にも教員の力量的にも大きな問題なので、
一朝一夕で解決できるものではないかもしれません。
このように考えてしまうと二の足を踏んでしまいそうですが、
果たして、授業の慣例から立ちあがるときはやってくるのでしょうか?

ちなみに、私が実施した小規模校では、
私だけが立ったままの授業スタイルで行っており、
別の意味で1人立っていました。

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