暴動を防止するには、暴動対策をしないほうがいい!?(イングランドのフーリガン対策 「ハグ・ア・サグ作戦」)

一言でいうと

厳重な警戒は、人を刺激する。
対立を生み出すのではなく融合を意識する。

活用シーン

暴動の防止、組織マネジメント

内容

2004年、サッカーワールドカップに備えたフーリガン対策において、社会心理学者、クリフォード・ストットの提案を一部採用した。警察が人々に送るシグナルを変えれば、暴動を予防できるという仮説を立て、それを実践した。なぜなら、機動隊や装甲車の存在が刺激となり、フーリガン的行動が誘発されると考えたからだ。

ストットはポルトガル警察に対していくつかのルールを課した。
第一のルール
暴動鎮圧用の装備を一切使わないこと。ヘルメット、盾、警棒、装甲車と言ったものは市民の目につかないようにする。

第二のルール
治安維持部隊は従来の黄色の制服ではなくライトブルーのベストを着用。このメンバーは、社交スキル(親しみやすくユーモアのセンスがある)人間が選ばれた。

さらに彼らに、出場チームやファンについて勉強させた。(ファンとコミュニケーションがとれるようになるため)

第三のルール
フーリガンが公共の場所でサッカーボールをけり始めても、すぐには介入しない。蹴ったボールが自分の足元に来るまでは、好きなようにやらせておく。(足元に来たボールは没収してもよい)

結果は、3週間にわたる大会期間中、すとっとの方針が採用された地域では、逮捕されたイギリス人のファンはたった一人だった。群衆と警察の数千回のやり取りのうち、問題があると判断されたのはわずか0.4%だった
暴力事案が起こったのは、警察がヘルメットと盾という従来の装備で警備していた地域だけだった。

『THE CULTURE CODE最強チームを作る方法』ダニエル・コイル

この方法は、他でも活用されたかどうかはわかりません。この事例に限って言えば、警察の姿勢がそもそも「敵対的」という「社会のシグナル」を送らなくなれば、反発も起こりにくくなる、ということを表しているようにも見えます。

ビジネスのシーンでは、たとえば上司の接し方や、組織のつくり方によっては、やたらと不祥事が起こりやすくなる、ということはあるかもしれません。また、社員を管理しようとすればするほど、その管理から逃れようとする人も現れてくる可能性はありそうです。


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