麻井 朝

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麻井 朝

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マガジン

  • 単発記事

    一回で読めるものをまとめました

  • ミステリー 里見弴の我孫子の土地の謎を解け!

    里見弴の我孫子転居から絶縁の謎を追います

  • 『君と私 志賀直哉をめぐる作品集』解説補遺

    書ききれなかった分です

  • そこのあなた、ちょっと里見弴について知りたくないですか?

    志賀直哉と里見弴の解説 レベル2くらい

  • 志賀直哉×里見弴×暗夜行路

    志賀直哉と里見弴の関係を著作から検証した記事です

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【記事インデックス】

ここまでの記事をマガジンに分類し、一覧にしました。 続きものをまとめて見るときに便利です。 ●単発記事まとめ ●ミステリー 里見弴の我孫子の土地の謎を解け!←it's new! ●『君と私 志賀直哉をめぐる作品集』解説補遺 ●そこのあなた、ちょっと里見弴について知りたくないですか? ●志賀直哉×里見弴×暗夜行路

    • ミステリー 里見弴の我孫子の土地の謎を解け! 最終回

      〇里見弴の動きの遅さ あらためて、里見弴が大正5年、志賀直哉に書いた手紙を眺めてみましょう。 ここから、我孫子にかかわる内容を拾います。 【1月12日】 【2月14日】 【2月29日】 【3月9日】   【4月1日】 【4月18日】 【4月27日】 【5月14日】 ※志賀の分の地図というのは、おそらくこの時期、志賀が買っていた別の土地のことかなと推測しています。 【5月17日】 【5月20日】 ※この手紙では、今までの礼も述べ、以前に借りていた交通費

      • ミステリー 里見弴の我孫子の土地の謎を解け! 3

        〇土地台帳を読んでみよう! 土地台帳のようすをあげてみますね。こんな感じです。 一応念のため、個人名など具体的な情報部分は消しておきます。 では、中身を読んでいきましょう! ① 場所 まず土地台帳によると、里見弴が所有していたのは、おそらく以下の部分です。 木川恵二郎さんの湖上園は道の反対側にも広がっていましたが、そちら側には弴名義の土地台帳はないそうです。 ただ、私が申請時に地番を読み違えた可能性もありますので、それも念のために頭の中に置いておきましょう。 また、

        • ミステリー 里見弴の我孫子の土地の謎を解け! 2

          〇「破れ暦」序文の驚き さて、ここで話が冒頭に戻ります。 『破れ暦』序文のどこに、どうしてびっくりしたか。 赤線を引いてみました! 抜き出してみます。 「一昨年の初夏の候、(略)我孫子の沼べりに持っていた私の地所を、知十さんにお譲りすることに話がきまり」 こ、こ、こ、これはーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!! ガタァッとする私。 これまでケンカのあと我孫子の土地をどうしたか、弴本人の言及はほとんど見かけませんでした。でもついに発見したのです。 岡野知十さ

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        • ミステリー 里見弴の我孫子の土地の謎を解け!
          4本
        • 『君と私 志賀直哉をめぐる作品集』解説補遺
          2本
        • そこのあなた、ちょっと里見弴について知りたくないですか?
          5本
        • 志賀直哉×里見弴×暗夜行路
          16本

        記事

          ミステリー 里見弴の我孫子の土地の謎を解け! 1

          大きく出てしまいましたが、ただのオタクによるちょっとした報告なので、軽く読み流してやっていただけると幸いです。 なお、この記事をわざわざひらく方の多くは、おそらくすでに里見弴や志賀直哉についてご存知だと思うのですが、「たまたま紛れ込んだのでよくわからん」というかた向けに、以下の記事をご用意しました。 これさえ読めば大方わかる!(はず) 3千字弱くらいなので、すぐ読めます。 未知との出会い あれは約6か月前。2023年8月のことでありました。 Twitterでたまたま、

          ミステリー 里見弴の我孫子の土地の謎を解け! 1

          里見弴と志賀直哉、めっちゃざっくり

          とりあえず二人の関係の概要だけ知りたい! というかた向けです 志賀直哉(しが なおや) 明治16年2月20日~昭和46年10月21日(没年88歳) 小説家。 大正時代に人気を博した「白樺」の中心的メンバーとして文壇に登場。 強靭な自我と、ぎりぎりに張り詰めた神経の瀬戸際をまざまざと描き出せる筆の持ち主として注目された。 のちに「白樺」的な理想主義からは距離を置き、東洋的な調和を描いた心境小説の完成者として文壇で尊敬を集める。「小説の神様」と呼ばれ、後続の小説家に大きな影

          里見弴と志賀直哉、めっちゃざっくり

          そこのあなた、ちょっと里見弴について知りたくないですか?(完結編)

          前回、無事(?)に絶縁した志賀と里見ですが、それからどうなったのでしょうか。 絶縁中にもなかなか面白いエピソードがありますので、いくつか見てみましょう。 絶縁中のふたり 絶縁したばかりだというのに、それからすぐにふたりは顔を合わせてしまいます。 白樺の仲間たちの集まりがあり、そこにふたりとも参加していたのです。 互いに顔を背け、挨拶もせずに、里見はすぐに帰宅。以来、白樺の集まりから距離を置いて、泉鏡花や久米正雄ら、あらたな文壇の友人たちとおもに付き合うようになります。 た

          そこのあなた、ちょっと里見弴について知りたくないですか?(完結編)

          そこのあなた、ちょっと里見弴について知りたくないですか?(志賀直哉編3)

          前回簡単に「ご紹介します」と書きましたが、実は話はそう単純ではなかったりします。 なんと、里見が書き志賀が怒る、というパターンは3回繰り返されました。大正元年から5年までの5年間に3回です。 これだけで、もう君らどうしちゃったの、と言いたくなりますが、本人たちは真剣です。 里見は、自分たちの関係を見直そうとして作品に書きました。 その際、志賀をなじる書き方はするまいと気を付けたようですが、志賀の怒りは防げなかったのです。 くわしくは「志賀直哉×里見弴×暗夜行路」で触れて

          そこのあなた、ちょっと里見弴について知りたくないですか?(志賀直哉編3)

          そこのあなた、ちょっと里見弴について知りたくないですか?(志賀直哉編2)

          旅行で距離が近づく 「志賀直哉に恋ごころを持っていた」。 里見弴が何度かそう書いている、と前回ご紹介しました。 里見はその時期を、13歳前後と記しています。 前回、少年時代の里見がスポーツ万能の志賀に憧れ、お稚児さんにしてほしいと願っていたエピソードをご紹介しましたが、ちょうどそのころのことだと思われます。 志賀は実際かなり運動神経がよかったようで、そのころ学習院の棒高跳びの記録保持者だったそうです。 里見の話によれば、志賀は棒高跳びの跳び方も独特でした。 通常は、バー

          そこのあなた、ちょっと里見弴について知りたくないですか?(志賀直哉編2)

          そこのあなた、ちょっと里見弴について知りたくないですか?(志賀直哉編1)

          最初にざっくり言うと、事実 志賀直哉との関係について見ていきましょう。 最初に、「歴〇人」の記事を見て検索して来られた方が一番興味があるのは、「本当に恋愛関係だったの?」ということではないでしょうか。 引っ張るのもなんなので、とりあえず答えだけ知りたい方向けにざっくりと言うと……まあだいたい事実と言っていいと思います。 細かいことを言い出すといろいろと考えるべき要素はあるのですが、しかし本人がそう発言しているということが大きいです。 管見のかぎりでは4回ほど、里見弴本

          そこのあなた、ちょっと里見弴について知りたくないですか?(志賀直哉編1)

          そこのあなた、ちょっと里見弴について知りたくないですか?(前篇)

          日本最大級のポータルサイト、ご存知ヤフージャパン。 そのヤフージャパンで、つい最近こんな記事が紹介されていました。 ・文豪・志賀直哉と里見弴は「プラトニックな恋愛関係」にあった!? ・女性と結婚しながら男性と恋に落ちた文豪・志賀直哉の「身勝手すぎる罵倒」とは? うおーい、まじかー、って言っちゃいましたよ。 志賀直哉と里見弴は、その現役時代にも雑誌で「同性愛」と書かれたことがありますが、まさか2023年のインターネットでもこんなタイトルが躍るとは。中公文庫さまのお力でしょう

          そこのあなた、ちょっと里見弴について知りたくないですか?(前篇)

          「君と私 志賀直哉をめぐる作品集」解説補遺②

          ■「君と私と」をもっと理解するために 「君と私」での里見の焦りを、もうすこし掘り下げてみましょう。 創作・環境・放蕩の3点に分けてみます。 ① 創作の焦り このころ、里見はまだ「これだ」と手応えを感じる創作ができていません。 しかし、5つ年上の志賀は着々と前進していました。 このあたりをざっと時系列順で並べると、 明治36年 志賀21歳:学生。小説家を志す。翌年、処女作「菜の花と小娘」      里見16歳:学習院の学生。 明治40年 志賀25歳:作品を里見に聞か

          「君と私 志賀直哉をめぐる作品集」解説補遺②

          『君と私 志賀直哉をめぐる作品集』解説補遺①

          https://amzn.asia/d/9rKmhJn 中央公論さん何かありました!? ……と、聞きたくもなるというものです。 それくらい、中央公論から里見弴関係の本が出ています。 四~五月でなんと三冊。しかも復刊ではなく新刊です。 オタクとしては中央公論さんには足を向けて寝られません。まことにありがとうございます。 それだけでもありがたいところ、なんとそのうち一冊に解説を書かないかというお声がけをいただきました。 けっこう悩みました。武藤康史先生など、もっと適任の

          『君と私 志賀直哉をめぐる作品集』解説補遺①

          志賀直哉×里見弴×暗夜行路(目次)

          目次 1.志賀直哉×里見弴×暗夜行路①  文豪ブームでも取り上げられていない、当時は有名だった文壇の事件とは? 2.志賀直哉×里見弴×暗夜行路②  当時の「学生男色」ブームとは?  3.志賀直哉×里見弴×暗夜行路③  時系列……生育歴から幼少期の出会い、そして青年期まで 4.志賀直哉×里見弴×暗夜行路④  里見の「君と私と」に描かれていない謎とは~女中八重① 5.志賀直哉×里見弴×暗夜行路⑤  里見の「君と私と」に描かれていない謎とは~女中八重② 6.志賀

          志賀直哉×里見弴×暗夜行路(目次)

          志賀直哉×里見弴×暗夜行路⑮

          絶縁してからのふたり 大正5年、志賀直哉のハガキを決定打として、志賀と里見は絶交に至った。 絶縁してしばらく後、「白樺」の集まりがあった。 メンバーの中には志賀と里見もいた。 互いに気付いたふたりは顔を背け合い、里見は不愉快だからと早々に帰宅した。 これを皮切りに、ふたりは数年にわたって関係を絶つことになる。 時おり道で行き違うのがせいぜいで、それも知らん顔をして行き過ぎていたという。 絶縁している間に、ふたりの人付き合いや文学的立場も変わっていく。 その少し前から雑

          志賀直哉×里見弴×暗夜行路⑮

          志賀直哉×里見弴×暗夜行路⑭

          「里見弴は志賀直哉のお稚児さんで、同性愛関係にあった」。 冒頭で紹介したこの噂。 正しいかどうか、ふたりの関係性を検証してきた。 さまざまな情報を知った今、改めて真偽を考えてみよう。 ……と、書き始めたのだが、実は単純に恋愛要素があったかなかったかで言うのなら、答えは簡単だ。 あった。 というのも、里見が、志賀に恋愛感情を持っていた、と何度か語っているのだ。 レトリックとして「恋愛」の語を使ったり、匂わせたりしたわけではなく、はっきりと「恋愛感情」として話している。

          志賀直哉×里見弴×暗夜行路⑭