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『みかづき』全話レビュー

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吾郎に会えない時間が、千明と私たちの吾郎への愛を育てるのですね(『みかづき』第四話レビュー)

大島吾郎(高橋一生)の不在がとっても長く感じる第四話。停滞した家族に、塾に、物語に、わーっと明るく爽やかな風を吹かせて生き返らせる吾郎はまるで魔法使いのよう。

千明(永作博美)の行き詰まりと、ドラマとしての息詰まりがぴったりリンクする。強い女しかいない世界って、中にいても外から見てても疲れるのよね〜、と色々身につまされる思いをする前半30分でした。千明もたじたじの強烈な女に育った蘭(大政絢)。反

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互いを想い合うゆえに、娘の恋を壊してしまう千明と吾郎の子供っぽさに味わい(『みかづき』第三話レビュー)

切ない展開がぎゅっと詰まった第三回だった。典型的な夫婦のすれ違いの描写はまさに朝ドラ風、なのだけど、まあ展開の早いこと。現在放送中の朝ドラは夫婦のやりとりの無限ループにより「既にして再放送のようだ」と評されていますが、その五倍速くらいで進んでいくのが『みかづき』です。

速度ゆえか、前回に続いて「結構大事だよなこれ」って台詞やシーンがさらっと流されること多し。今回は壇蜜とのささやかな触れ合い?とバ

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「たとえ自分が灰になろうと」をさらっと流す粋な台詞と演出が最高です(『みかづき』第二話レビュー)

なるほど、確かにこれは家族の物語でありラブストーリーだ。と深く納得した第二話。

一話に引き続き、五話完結ならではのテンポの良さ。そして説明っぽさを一切持たせずにキャラクターを活き活きさせる台詞回しが凄く凄く巧い。凄く良い。

たった五話で大河やってのけるのだから、当然ながら時間がない。時間がないんだから、いちいち説明する暇がない。だからちょっとした会話のやりとりに「その人らしさ」がさりげなく、で

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今クール大本命!抑えきれぬ情熱に突き動かされる人の魅力をお腹いっぱい楽しむ「みかづき」第一話

やっと来ました大本命!長らく待たされました。最高にエンターテイメントな教育ドラマでNHKがキメてきましたよ。

静かな夜、暗闇に浮かぶ三日月。そのイメージから、穏やかで淡々とした人間の中にじっと燃える静かな教育への信念。みたいなものを想像していたのですが、全然違いましたあ!!

まあ最初から最後まで騒々しい騒々しい。「あ!」とか「ま!」とかやたらと音を出しては何かを思いつき、思いついては熱く熱く語

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