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能登半島地震に思う

新年早々、能登半島を中心に大きな地震が起き、今も余震が続き、日本海側では津波警報も発令されている。家族揃って新年を寿いでいた多くの人たちが、眠れぬ夜を過ごしたことだろう。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災地の方々に少しでも早く日常が戻ることを願っている。

ロンドンに住んでいると、日本がいかに自然災害の多い国かということを身を持って感じる。というのは、こちらに住んで3年間、自然災害らしい災害に見舞われたことが一度もないからだ。私の住んでいる地域でたまたま何も起きなかっただけで、イギリス全土で見ると、ストームにより建物が倒壊したり、大雨で浸水被害を受けた街はいくつかあった。それでも、日本で地震、台風、大雨による土砂崩れなどが起きる頻度の比ではない。もしも、ロンドンで震度7の地震が起きたなら、私の住む家はもちろん、ロンドン全体が壊滅状態となるだろう。それくらい、地震や災害に備えた構造になっていないし、する必要もない場所なのだ。イギリス人の友人に、日本の学校では必ず地震の避難訓練があるという話をして驚かれたこともある。

そして日本での災害のニュースを聞く度に思う。家族、親戚、友人たちが元気で生きていてくれることの有り難さを。日本全国どこで地震が起きてもおかしくない。そんな中で、自分の大切な人たちが日々を過ごしていること、それって奇跡みたいなことなのだ。私には今のところ奇跡が起き続けているけれど、いつ、その奇跡が終わるかはわからない。今回の地震や過去の災害において、不幸にして被害に遭われた方がいるように、いつ自分の身の回りの人や、自分自身が被災者になるかはわからない。常に不安定に揺らいだ環境の中で生きていて、ほんの僅かなズレや歪みによってバラバラになるかもしれない世界。まさに、映画「君たちはどう生きるか」の中に出てくる積み木を重ねたような世界。そのアンバランスさの中で保たれてきたバランスを奇跡と呼び、その奇跡に感謝せずにはいられない。