ホテル・ムンバイ

観るのがとにかくつらかった。

2008年にインド・ムンバイで起きた同時多発テロ。
この映画は、その中でも多くの死者を出した、タージマハル・ホテルの無差別攻撃、立てこもり事件をリアルに描いた作品。

ホテルの従業員、客が容赦なく殺されていく場面が続き、無表情でどんどん人を撃ち続けるテロリストの少年たちが恐ろしく、電話で指示を続ける指導者的人物とともに彼らへの怒りがこみあげてくる。

だが、やはり頭を離れないのは、なぜ、彼らのような恐ろしいグループが生まれてしまったのかということ。

一言で言えば、資本主義であり帝国主義ということなんだろう。
旧帝国主義で他国から富を搾取して発展した日本を含む先進国との格差に苦しむ人々が、スラムの横で天に向かって伸び続ける高層ビルとそこで出入りする人々に恨みを募らせるのも、当然と思えば愕然ともする。

格差や貧困をなくすために、今盛んにSDGsが叫ばれ、ブームになっている。
紛争やテロという最悪の自体に結びつく、これらの問題解決には教育が何より必要とされており、それはそれで間違いないだろう。

けれど、前回のGreen Bookで書いたように、他者との競争に勝つため、富を得るための勉強になってしまっては、結局どこかに歪みが生じてしまう。

なぜ教育が必要なのか、と自らに問うたとき、子どもは、親は、教師は、大人はどんな答えを持ち合わせているだろう。

成功するため、自分の幸せをつかむため。その通り。

だが、その成功や幸せの中身が、他者との比較になってはいないか、常に確認することが本当に大切だと思う。

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