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職場のエレベーター。
自販機のある階のボタンを押し、ドア付近、ボタンの前でボサッと立っていると人が乗ってくる。

私「何階ですか?」
人1「4階お願いします」

という会話が成り立つこともあれば、

私「何階でs…」
人2「バチッ!(4階のボタンを押す音)」

という感じで、自分で階を押すような人もいる。

私「何階ですか?」
人3「あ、代わります」

というような人もいる。これは自分より若い人が多く、変に譲り合いをするのも時間がもったいないので、サッと譲ってしまうことも多い。

別にどれが正しいということではない。エレベーターに乗っていれば当然起こりうる日常だ。フロアも違う、顔見知りでもない相手に私から口を開くということもしない。ましてやこのご時世だ。ありふれた、黙々とした時間が流れる。

自販機のあるフロアは一番遠いので、大抵の場合、私が一番最後まで乗っていることになる。そして彼らはエレベーターから出ていく。

人1「ありがとうございました」
人2「…」
人3「失礼します」

などと。彼らは三者三様に出て行く。
「閉」ボタンを押しながら。

おそらく、私がボタンを押す手間を省いてくれているつもりなんだと思う。しかし会社のエレベーターには挟まれ防止のセンサーがあるため、ドアが閉まる箇所に人や物がある状態でドアが閉まることは絶対に無い。エレベーターの外から「閉」ボタンを押しても同じである。

全員が全員というわけではないが、「閉」を押しながら出て行く人は少なくない。かといって、呼び止めてまで指摘するわけにもいかない。それこそ時間がもったいないし、言われた方も「わざわざ呼び止めてまで言うことか?」と、怪訝な顔をされる可能性もある。

さて、どうしようか… と、考える暇もなく、彼らは姿を消す。私は黙って「閉」ボタンを押す。なんてことはない、日常に戻っただけの話である。


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