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【写真67枚】vol.3 小田原へ / 11月の海

小田原へ

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11月の海

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あとがき

 「小田原へ」は9月に小田原を訪れた際に「御幸の浜」の東部で撮影したもので、「11月の海」はタイトルのまま。ちなみに10月は海に行くことができなかった。

 「湘南」というのは三浦〜真鶴までの、相模湾沿岸を指す言葉だが、一般的には逗子〜大磯あたりに広がる砂浜をイメージする方が多いと思う。しかし、「御幸の浜」の東部はそういう目線で言えば若干異質な海浜である。直径数センチクラスの石がごろごろと転がっている、転倒したら何かしらの負傷は避けられないような、言わば「石浜」である。ちなみに、トンネルを出て左にはおそらく人工的に捨てられたと見られる大きな石による「岩浜」も広がっている。

 早川、根府川方面に歩けば夏には海開きもされるような「砂浜」が広がるが、私はもっぱらこの「石浜」「岩浜」の中でカメラを向けていた。人間、見慣れた景色よりも見慣れない景色に興味を持つのは当然の心理とも言える。砂浜ではバーベキューをしている人の姿が見えたが、そこに近づくことは結局無かった。

 一方、2ヶ月ぶりに訪れた11月の海浜は「砂浜」だが、訪れた日はたまたま雨上がりで空気が非常に澄んでいて、特に西方に見える富士山の姿が嘘のように美しかった。地上世界の淀んだ空気も標高3776m先までは届かないのだろうか。まるでそこだけ描き足したかのような、別次元の世界である。

 普段はほとんどの作品をモノクロに「加工」しているのだが、2ではカラーのまま、ほぼほぼ無加工のままで写真を使ってみた。使用しているカメラはPanasonic LUMIXの今はなきコンデジタイプだが、個人的にはフィルムカメラにも通じるような、懐かしい感触を感じていたりもする。カラーにするかモノクロにするか、それは私自身の気分なのだが、このときはカラーのほうが自分の気分にはまっているような気がした。

 私の頭上を舞うトンビの姿を見て、思い出すことがある。
 それは2012年3月のことで、私はその時、石巻市を訪れていた。東日本大震災による津波被害直後に比べればだいぶ瓦礫等は片付けられていたものの、あちらこちらが破損した住宅もまだまだ残っているという状況だった。

 私がその風景に絶句しつつ、石ノ森萬画館(当時は休館中)のある中瀬から門脇小学校のある南浜地区へと足を向けていると、一人の青年が軽トラックの荷台で佇んでいるのを見た。時間帯として昼食休憩中だったのだろう。彼は空を見上げていた。彼の視線の先には、数羽のカモメが飛び舞っていた。

 佇む青年の背中はいっそう寂しく感じた。
 私は彼と距離を置くようにして、南浜地区、門脇小学校の被災校舎へと向かって行った。


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