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「夜の隅っこで泣いてたあなたへ。どうか、どうか、生き延びて」

 amazarashi秋田ひろむ氏が放った、この(タイトルの)言葉。
 悲しみや苦しみもひっくるめて「夜」だとすれば、いまこの言葉を必要としている人は、いったいどれほど居るだろうか。

 福岡サンパレスホール1階2列目から眺めた秋田さんは、何度かお顔が見えるほどに近くて、だけど遠かった。
 最後のMCで「やりたいように、やりたいことをこれからもやっていく」(要約)と言っていた彼は、おそらく「夜」の向こう側へ行ってしまった。

 それはきっと、amazarashiというバンドを続けるための覚悟でもある。
 雨曝しの彼らは「それでも」と、常々足掻いていた。言い換えれば、彼らは、うたのなかで「弱さ」を「武器」にしていた。
 そう、彼らにとってその行為は過去のことに過ぎないのだ。

 今ツアー「永遠市」は、新しく発売された永遠市というアルバムを引っ提げて行われている。
 このCDアルバムだが、個人的に、はじめは聴きにくかった。というか、「あれ?amazarashiってこんな感じだっけか?」みたいな感想をもった。
 もちろん全ての曲がそうではないが、何だか唄うことへの「決心」そして「出発」を想起させた。また、メロディーが、よりポップに、わかりやすく言うと「明るく」なっているような気がした。

 秋田さんは、去年パニック発作のため、少しの間休養していた。
 今作はその間のことを思い出しながら作られたものだという。

 だからか、と思う。
 
 このアルバム、あるいは今ツアーは、秋田さんにとって「再出発」を意味するのだ。
 
 大阪公演と福岡公演、2か所のライブへ行けたこと、彼のある種の決意表明に立ち会えたことに感謝だ。
 
 福岡公演は大阪の時に比べてコンディションがあまり良くなかったのか、高音が苦しそうだったけど、それも含めて「ライブ」だった。

 大切なあなたとわたしへ。これからもどうか、生き延びて。
 

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