立ち止まる
風邪を引いた。
熱は今はない。が、喉や身体の節々が痛む。熱がないのに休むなんて……とも思ったけれど、大事をとって仕事を休んだ。
仕事について、ひいては働くということについて、しばし考える。
わたしは、4年制大学を卒業したにもかかわらず、正社員として働いたことがない。
アルバイト、あるいは、パートタイマーだ。
半分病気のせい。仕方ない。
ずっとそう思っている。
しかし、
もう半分は?
と、問われると、正直わからない。
自分の甘さかもしれないし、単に運が悪く縁が無いままにここまできたのかもしれない。
三十代半ば。
まわりは、結婚したり、子育て中だったり、あるいはバリバリ働いていたりする。もしくはそれらを両立してさえいる。
過去の時間を取り戻すかのように、今から社員を目指すだなんて、馬鹿げているだろうか。
ふと、そんなふうに思ってしまう。
社員にこだわる必要はない。とは思う。
満員電車に日々耐えられるだろうか。といった不安もある。
不安は、わたしを立ち止ませる。
できれば、憂うことなく突き進んでゆきたい。だって、未来がわからないからこそ、人生は豊かで、おもしろいのだから。
と、ここまで書いて、わたしは、不安を悪者にしているな、と気付いた。
不安は、別に悪いことでもない。
危険を察知したり、失敗を回避できたり。それらは「不安」を感じられるが故に、だ。
じゃあ、立ち止まることが悪いのか。
答えはきっと、NOだ。
わたしは、焦っているだけだ。人生をおもしろがる余裕を、失っているだけだ。
弱っている時ほど、判断を鈍らせる。今すぐにできること(やりたいこと)と、やらねばならないことは違う。
風邪っぴきな今だから、ぐるぐる思考はとめどなく続く。
とにかく風邪を治そう。
立ち止まるって、たぶん、周りを見渡すことであって、周りと比較することではない。
コンディション次第だけど、明日から気持ち新たに働きに出る。
働くことをおもしろがれるわたしを取り戻したいな。いや、きっと取り戻せるだろう。
今の職場の雰囲気はあまり好きじゃないけど、仕事自体は好き。人間関係の中間管理職みたいなわたしも、しんどいけれど嫌いではない。
がんばってるねと声をかけてくれるハンチング帽のおじいさん、体調を気遣ってくれるおばさん、おしゃべり好きなおじさん……常連客のあなたやあなたにお会いできるのも、仕事中の密かな楽しみだ。
身体はまだ少ししんどいけれど、心はだいぶ楽になった。
人生何があるかわからないね。
だけど、だから、おもしろいね。
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