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小動物臨床を行っている獣医師です! 獣医師の立場からこれだけは飼い主様に知っておいても…

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小動物臨床を行っている獣医師です! 獣医師の立場からこれだけは飼い主様に知っておいてもらいたい!よく相談されることなど発信していきたいと思っています。 ブログもやっているので是非のぞいてみてください!https://petvetad-blog.com

最近の記事

犬と猫の正常な飲水量と尿量について

これから暑くなると犬でも猫でも飲水量が増えます。ですがその中には病気の症状として飲水量が増えている場合があります。 飲水量、尿量が多いという症状を多飲多尿と言いますが、多飲多尿を引き起こす疾患は毎日のように遭遇するほど多いです。 ではまずどの程度の飲水量や尿量が病的なのでしょうか? 犬では1日に体重1kgあたり100ml以上、猫では1日に体重1kgあたり50ml以上のお水を飲んでいれば何か病気が存在する可能性があります 尿量をご自宅で測定することは困難なので、ペットボトルな

    • 犬の白内障について

      人間と同じく、ペットにも白内障が存在します 猫では比較的少なく、犬では多く認められます 普段診察をしていても、「最近眼が白くなってきた」と言われることがよくあります そこで我々獣医師と飼い主様との間でペットの白内障についての意識として、1つ最も重要な認識の違いがあります ☆飼い主様が最も気にするポイント →視覚の問題 ☆獣医師が最も気にするポイント →合併症や併発疾患の有無 もちろん眼が見えなくなることは重要なポイントであり、それが動物だからといって平気というつも

      • 猫の遺伝性疾患について

        今回は猫の遺伝性疾患について書いてみようと思います 犬と同様に猫でも遺伝性疾患は多く存在し、日本で人気の猫種においても多く認められます 実際の臨床現場で遭遇機会が多い疾患について簡単に解説してみます ☆多発生嚢胞腎 スコティッシュフォールド、マンチカン、アメリカンショートヘア、ペルシャなど 腎臓に複数の嚢胞(液体の溜まった袋)が出来てしまう腎臓病で、初期には無症状ですが、徐々に嚢胞が増えたり大きくなったりすることで周囲の腎臓組織にダメージを与えて腎不全へと進行してしま

        • 実は多い犬の遺伝性疾患について

          人間と同様に犬にも遺伝的要因がわかっている病気から疑われる病気までたくさん存在します 特に日本では犬猫の遺伝病が多く、その原因として特定の種類に人気が集まり、一部の生産者が無秩序に交配させている背景が考えられています 遺伝病で1番大事な事は当たり前ですがその遺伝子を持つ子が生まれないようにすることであり、そのためには遺伝子検査を行なって問題の遺伝性疾患を持つ子を繁殖させないことです 現在、動物の遺伝子検査が普及し、複数の検査会社で特定の遺伝性疾患に対する検査を行うことが

        犬と猫の正常な飲水量と尿量について

          子犬の甘噛みを問題化させないために知っておきたい事

          子犬のころの甘噛みはなかなか問題視されない事も多いです ですがそのまま放っておくと、家の中のものがボロボロになってしまったり、将来的に問題行動に発展してしまう恐れがあります 可愛いからと甘噛みを放置せずに子犬の頃から対策を講じることが重要です そもそも子犬が甘噛みするのは正常な行動であり、意味のある行動でもあります 生後4-6ヶ月では、噛むことによる学習を行なったり、乳歯が抜けやすくなったりという理由があります。また、小さくて可愛いながらも狩猟本能があり、特に人の手や

          子犬の甘噛みを問題化させないために知っておきたい事

          ペットの避妊手術と乳腺腫瘍の関係について

          今日は意外と知らないけどすごく重要な避妊手術と乳腺腫瘍の関係について書いていきます 犬でも猫でも乳腺腫瘍で来院される事は多く、悪性の割合は犬で50%、猫で90%と言われています 乳腺腫瘍の発生には性ホルモンが関係しているため、避妊手術を行う事で発生リスクを減らす事ができますが、それには避妊手術を行う時期が重要になってきます 結論から言うと避妊手術はするならなるべく早い方がメリットが大きいです まずは犬から 初回発情前→乳腺腫瘍の発生率0.5%に減少 1〜2回目発情前

          ペットの避妊手術と乳腺腫瘍の関係について

          犬の歯周病とお家でやるべきデンタルケア

          歯周病は『歯肉炎』と『歯周炎』に分類されます 『歯肉炎』とは歯の表面に細菌が定着してプラークを形成し、それによって周囲の歯肉に炎症が起こっている状態です 『歯周炎』とは炎症が広がり、周囲の組織が破壊されている状態です 『歯肉炎』→『歯周炎』の順に進行して行き、『歯肉炎』は治療•デンタルケアをすれば元の状態に戻りますが、『歯周炎』に進行してしまうと治療しても完全に元の状態にまで戻すことはできなくなってしまいます また、プラークから、カルシウムの沈着などによって歯石に変化

          犬の歯周病とお家でやるべきデンタルケア

          知っておきたい猫の好きなトイレのルール

          猫には人間が思ってる以上にトイレの好き嫌いがあります 今のトイレが気に入らないからトイレではない場所で粗相してしまったり、トイレのふちや壁にしてしまったり、我慢してトイレを使っているとストレスで膀胱炎になったりすることもあります では猫が気に入ってくれるトイレはどんなトイレでしょう? それは自然界での本来の猫の排泄様式を知ればわかりやすいと思います 猫は自然界では”外敵から狙われない静かな場所”で、”土や砂の上”に排泄し、周りの”土や砂を掘り掘りして”排泄した場所にか

          知っておきたい猫の好きなトイレのルール

          動物の理想体重について知っておきたいこと

          飼い主様から『うちの子の理想体重ってどのくらいですか?』という質問を毎日のようにいただきます 特に最近はコロナの影響もあり、飼い主様と一緒に外に出かけて運動することも減っている傾向なので、肥満傾向の子が増えてきています 実は理想体重はその子によって様々なので、だいたいこれくらいのサイズの子だから○○kgかなというのはありません そこでその子にとっての理想体重を知るためには、①理想の体格を知る②理想の体格との差を知る③理想体重を計算するというステップが必要になってきます

          動物の理想体重について知っておきたいこと

          マダニの怖さについて知っておきたいこと

          ここ数年獣医療では今まで以上にマダニへの対策が言われるようになりました その原因として、SFTSという病気があります。 SFTSは日本語で”重症熱性血小板減少症候群”と呼ばれています この病気はマダニが媒介する感染症でペット(特に猫)や人間にも感染する怖い病気です 有効な治療法は無く、対症療法が中心となります そのため致死率も高く、犬(約40%)•猫(約60%)•人間(約27%)と言われています 実はこの病気の犬と猫での発生報告は西日本に限られています そして人

          マダニの怖さについて知っておきたいこと

          ワンちゃんが外耳炎になってしまったときにこれだけは知っておきたいこと

          今回は外耳炎と診断された時に飼い主様が知っておくことでワンちゃんのためになる事を書いていきますね! “最近よく頭を振る”、”耳を擦ってしきりに気にしている”こういった症状で受診したところ感染による外耳炎と診断されることが多いかと思います。 実際に細菌(ブドウ球菌)や酵母様真菌(マラセチア)が増殖しているケースが多いです。 では本当に細菌や酵母様真菌(マラセチア)の感染だけで外耳炎になるのでしょうか?感染と言われて治療しているが頻繁に繰り返してはいませんか? ここでPSP

          ワンちゃんが外耳炎になってしまったときにこれだけは知っておきたいこと

          大学病院で詳しく診てもらいましょうと言われたときにこれだけは知っておきたいこと

          “うちでは診れないので、大学病院を紹介しますね” こんな事を獣医さんに言われたときに飼い主様が知っておくことでワンちゃんネコちゃんのためになる事をここでは書いていきますね! ちなみに今回は経験から来る個人的な意見が多くを占めていますので、お住まいの地域や、なってしまった病気によっては当てはまらない場合もあるかもしれません。 普段通っている病院では診ることができない、手術ができない。 そんなときに2次診療施設を紹介されるケースがあります。 必ず今の先生に紹介されたところじ

          大学病院で詳しく診てもらいましょうと言われたときにこれだけは知っておきたいこと

          抗生剤を処方されたときにこれだけは知っておきたいこと

          “とりあえず○○(他のお薬)と抗生剤出しておきますね” こんな事を獣医さんに言われたときに飼い主様が知っておくことでワンちゃんネコちゃんのためになる事をここでは書いていきますね! 、、、本当にこの子のこの病気に抗生剤って必要?その疑問が今回知っておいていただきたい事です。 まず我々人間で考えてみましょう。 風邪を引いて病院に行ったときに初めから抗生剤を処方されることなんてありませんし、お腹を壊して抗生剤で治すなんてこともほとんどの場合ありませんよね。 それは何故か、、、

          抗生剤を処方されたときにこれだけは知っておきたいこと

          慢性腎不全と言われたときにこれだけは知っておきたいこと

          “腎臓が悪いですね”、”慢性腎不全ですね” こんな事を獣医さんに言われてしまったときに飼い主様が知っておくことでワンちゃんネコちゃんのためになる事をここでは書いていきますね! 腎臓病ではよく血液検査で”慢性腎不全です”と言われる事が多いです。、、、ホントに慢性腎不全なの?その疑問が今回知っておいていただきたい事です。 我々獣医師は血液検査で腎臓の値 主に[BUN].[CRE].[SDMA]など の数値が上昇している場合にこの子は腎臓が悪くなっているなと考えます。 慢

          慢性腎不全と言われたときにこれだけは知っておきたいこと