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ACL完全断裂から復帰までの3ヶ月(3)ー受傷は新たな可能性への挑戦権ー

オペの判断に関して、coperとnon-coperという考えがあり、coperとはACL再建手術を行わなくても動きに対応できる人といったところか。

coperは持って生まれたギフトのような認識だったが、個人的な経験を経て、受傷によるトラウマ的経験の有無も大きく関係するように思う。

私も強烈な痛みを感じていたらサクッとオペをして安心できる道をとっていたかもしれない。

オペが関係する工程すべてを省けたので、リハビリ段階をかなり早められ、その心の余裕がスピードより質にこだわるマインドセットに繋がった。

私がサッカーをする上で一番大事にしているのが自身の表現であり、そのためには感覚を養い、その感覚を表現する身体を調整することが必要不可欠。

それが分かっていながら、チームを意識することによって焦りが生まれてしまう瞬間はどうしたってある。

今回は3ヶ月で復帰しており、普通より早い経過だと思うが、それでも焦りがまったくなかったわけではないので、オペを挟んでいた場合、どこまで冷静にやれたかはわからない。

ただ、これはあくまで私個人の例であり、プロアスリートにとっては確実に復帰できる道が一番と考えることもあるだろうし、その背景は人によって様々。

自分にとって一番優先すべきことを明確にし、そこからの逆算で道を考えなければならない。

過程の中であえて逆説的な思考を混ぜることによって、判断基準にバイアスが入り混じってないかを確認できればベター。

そして、今回なによりも鍵となったのが、正規ルートから外れる選択したことで、自分のためのリハビリプログラムを一から考えながら進められたこと。

作戦会議の段階では、チームの人間に限らず、様々な専門の人の意見を聞きながらリハビリを多角的に考え、実動部分でもたくさんの人にお世話になった。

自分の感覚という円があって、そこに治療やリハビリで得た新たな円を足していき、それらすべてが重なり合う小さな領域を見つけるための過程。

それが今回の3ヶ月であり、その領域範囲をより確かなものとするために、これからも続けていくもの。

というのも、リハビリの途中で気付いてしまった。

オペに関係なく、前十字が切れた時点で感覚は変わってしまっている。

ちょっと考えればわかることだが、なんせ体感するまで思いもよらなかったので、しばらくはそこそこにダメージを負い続けた。

ただそれであっても、やるべきことはいままでと変わらず、できないならその理由を考え、またチャレンジを繰り返した。

受傷前よりよくなっている部分もたくさんあり、それらを発見する度に、この変化のために「前十字なんていらない!」って自分で切ったんだろうなと思うようになった。

さすがに楽観的すぎる考えに自分でも笑ってしまったのだけど、こういう時は仲間の方があっさり肯定してくれたりするもので、やっぱりありがたいなと。

感覚の変化は脳の変化だろうと、脳化学について調べていたときにパラアスリートに関する記事をみつけた。(パラアスリートの「脳」から次々と新発見!脳の驚異的な再編能力と、その可能性とは?https://www.parasapo.tokyo/topics/94344

そこには「人間は身体のどこかに障がいが発生すると、それを補おうとして、脳がその働きや構造を変化させる、つまり「脳の再編」が行われている。」とある。

私の場合に置き換えると、今回の受傷をきっかけに情報処理のような脳の変化は始まっており、切れたままでプレーを続けることで新たな感覚を生み出せることになるのだろうか。

つまり、今回の受傷はただ失うものではなく、新たな可能性への挑戦権だった。

多くが変わっていく中で、過去の自分を参考にしつつも、どれだけいまの自分で新たなパフォーマンスを再構築していけるか。

これはオペの有無に関わらず、誰にでも言えることで、リハビリのあり方も"One program fits all"のようなものでなく、様々な角度から考えながら、その人にとってのベストをつくりあげることが理想となる。

最後に、ここまでを振り返って、一番大事な学びが「自律することと、一人ではなくチームで」。

できる・できないで考えがちだが、まず信念に沿って動いてみることや、その行動を振り返りながら正しく道を敷き直していくこと。

そして、一人では補えないことをカバーしてくれるから、チームで進む方がずっと先に進める。

もちろん専門的な知識や指導にも助けられたが、なによりはここまで本当にたくさんの人がサポートしてくれて、その関係性の一つ一つすべてが信頼という形で自信を与えてくれている。

普段から突拍子もないことをやりがちな性格ではあっても、今回のようにキャリアが終わる可能性がチラつくような出来事を前にして、たった一人で立ち向かうようなことは絶対にできなかったと思う。

これからもトラブルはあると思うけど、まあ多分乗り越えていけるんじゃないかなと思うので、とりあえずいけるとこまでチャレンジを続けたい。

追伸として、オペありルートのびっくりは少し前に界隈を賑わせたコンビが成し遂げてくれるだろうから、それを楽しみにしたい。

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