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思い出の品、大切にしていた物を手放したわけ

人は誰にも、自分が主人公の物語があります。そこには、楽しいことも辛いことも・・・。

今回は、不用品回収のご依頼のお電話がきっかけとなって、お客さまの物語の一端に触れたお話です。


不用品回収のお見積りが思わぬ展開に

最初の担当は、営業の岡本でした。

「不用品を処分してほしい」というお問合せをいただき、すぐにお見積りに伺うと、優しそうな中年の男性がお出迎えくださいました。

不用品は、プリンター、ファックス付き電話、釣り道具など・・・全部でミカン箱3つ分くらいの量です。

リール(釣り道具)は、箱も中身もとても状態が良く、何かピンと来るものがありました。

もしかしたら、これ高いやつなんじゃ・・・?

「釣り道具に詳しいスタッフがいるので、確認しても良いですか?」とお聞きすると、なんだか少し表情が明るくなり、快くOKしてくださいました。

撮影した写真をスタッフの高橋に送ると、「リールは、SHIMANOのステラモデルだよ!最高級品だよ!」という返信が。

そんなに価値があるものだったのか!!
ちょっぴりドキドキしてきました。

「どうやら、今回の処分費がまかなえるほど高く売れるそうです」

高橋から聞いたとおりにお伝えすると、「年式は古いけど・・・」とおっしゃりながら、他の釣り道具も見せてくださいました。

「この釣竿はチヌ(クロダイ)用で、こっちはイカ・・・」

楽しそうにお話されるご様子に、とても大切にしていらっしゃったんだなぁ・・・というのが伝わってきました。

ただ、どういうご事情か、もう釣りに行くことはないとのこと。

全部捨ててしまおうか、それとも取っておこうかと悩んでいらっしゃったそうですが、いろいろとお話していく内に、誰かが使ってくれるのなら手放してもいいかなと思われたようです。

「車を処分してしまったのでリサイクルショップまで運べないし、自分で持っていく体力もない」

私たちが買い取るという方法もありますが、中古の釣り具を扱っている専門店に持ち込む方が、高値がつけられます。
そこで、手間賃だけいただければ、代わりに売却してきますと、ご提案しました。

「それは、とても助かる」

私を信用してくださり、ありがとうございます。

不用品回収の日程調整をした後、釣り道具一式をお預かりして、お客さま宅を後にしました。

ここから先は、釣り好きの高橋にバトンタッチです。


釣り道具の売却と嬉しいご報告

お預かりしたものを拝見したところ、年式は古いものの、名の知れた道具がたくさんありました。
それに、まだまだ活躍できるものばかり。捨ててしまっては、釣り道具に申し訳なさすぎます。

岡本のカンが働いてくれて良かったです!

なるべく高く買い取ってくれそうな、馴染みの釣具店に持ち込みました。
17時前に到着しましたが、丁寧に査定したいので時間がかかるそうです。

その間、中古の釣り道具の相場をチェックしたり、新品も見たり、楽しかったです。
いや、勉強になりました。サボってませんよ(^^)/

持ち込んだのは、リール6個と竿5本、クーラーボックス、ルアーなどです。

買取総額は、89,980円。
スゴイ金額に、ちょっと興奮してしまいました。

「不用品の処分費なんて余裕で出る」とは言ったものの、まさかここまでとは思ってもみませんでした。

この時店で、すでに19時を回っていました。
ご報告は翌日というお約束でしたが、嬉しい話なので、すぐに電話したくてたまらなくなってしまいました。

ちょっとご迷惑かなとも思いつつ、お電話を差し上げると、お客さまもビックリ。二度も金額を確認されました。

捨てようとしたものが思ってもみない金額だったのだから、反応も頷けます。

労をねぎらってくださったのか、夜分にもかかわらず、快く訪問を受け入れてくださいました。

買取金額と明細を確認していただきます。
やはり思い入れのある道具ばかりだったようで、じっくりと明細をご覧になっています。

「これはこんなに値がついたのか~!」

「これもなぁ~!」

大切にしていたものに、思いを巡らせていらっしゃるご様子でした。

チヌ釣りがお好きなようで、オススメのポイントをお聞きしたら、場所から道具の説明まで、熱くお話してくださいました。

費やした時間はもちろん、お金もかなり使われたそうです。
「毎年、最新モデルが出て、釣り仲間と競うように買いまくった。でも、今まで取っておいたのは、やはり自分に一番しっくりきたやつだね。」

本当によくわかります。

ただの道具といえばそれまでですが、やっぱり趣味の物への思い入れは格別です。


思い出の品、大切にしていた物を手放すわけ

それほど大好きだった釣りの道具を、どうして手放すことになったのか・・・
そのあたりの事情を、ぽつぽつとお話してくださいました。

はじめは、息切れがして疲れやすい程度だったそうです。

気になったので病院で検査してもらったら、肺の機能が落ちるCOPDという診断だった。「煙草をやめて治療をするように」とも言われたが、忙しくてほったらかしに・・・。

それから数年が経ち、作業中にも肩で息をするように。はたから見ても、明らかに体力が落ちてきたのがわかるくらいだったそうです。

ある日のこと、水を飲んだだけなのに、急に吐き気が襲ってきた。
職場の同僚から「絶対におかしいから病院で診てもらったほうがいい」と言われ、検査したら、肺のガンが見つかった。

医者には「COPDの段階で適切に治療していれば、ここまで発見が遅くはならなかったかもしれない」とも言われたそうです。

ひとまず仕事を休んで治療に専念することになり、片付けも始められたのだとか。

放射線治療はするものの、失われた肺の機能も、体力も、もう元には戻らないとのことでした。

こんな時、どんな言葉をおかけするべきなのでしょうか。
何を言っても薄っぺらな気がして「それは大変でしたね・・・」としか言えなかった自分が情けないです。


1時間ほどお話をして、おいとましました。

思い出の品を手放しても、思い出は心の中に残ります。でも、寂しい思いをなさったのも間違いないでしょう。

釣り道具を手放した後も、お客さまが楽しそうにお話をしてくださった時のご様子が、とても印象に残っています。

お客さまがお話くださった物語に、しんみりとし、共感し、そして励まされました。
お手伝いをさせていただいたことに、深く感謝します。

まずは治療に専念していただき、一日も早く回復されますように。

心よりお祈りしています。

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