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片付けの大切さをゴミ屋敷の事例から検証してみた

片付けの仕事をしていると、このソファーの位置を変えたら圧迫感がなくなってくつろげそうだとか、筆記用具の収納場所を変えたら出し入れしやすそうだとか、暮らしやすさに敏感になります。

暮らしやすさの違いは、ちょっとしたことでも、毎日続くと意外に大きな差。
毎回のように、ボールペンや印鑑を探したり、今日着ていく服を探したりするのは時間の無駄ですし、ストレスをためてしまう原因にもなりかねません。

また、たくさんのものが雑然と置いてある食卓で食事をするのと、スッキリとした清潔な食卓で食事するのとでは、どちらが楽しくて美味しく感じるのかは言うまでもありません。

部屋が雑然としているのと、そうでないのとでは、見える世界が違います。

何が見えるかは、本当に大切。
値段の高いものでなくても、本当に気に入ったものを片付いた部屋に飾り、豊かで落ち着いた時間を過ごしたいものです。

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ちょっと大げさかもしれませんが、見える世界が変わると、感じ方が変わり、考え方が変わり、ライフスタイルも変わっていくのではないでしょうか。

片付けは、思ったよりも大切です。
・・・と、ここまで書いて、「片付けが大切」であることを何とか検証してみたくなりました。

それには、ゴミ屋敷になってしまって悩んでいらっしゃった方が、その大切さを語ってくれるような気がして、片付けトントンのお客さまの声を調べてみました。

【事例1】実家にモノが溢れてしまい、安全に暮らせなくなった

「入院中の母が帰ってきた時、暮らしやすくなるように実家を片付けてほしい。」というご依頼でした。

間取り:6DK
ゴミの量:床上50~100cm

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作業内容は、隣の家まで伸びてしまった庭木の剪定、ゴミの分別と処分、ハウスクリーニングです。
また、新品のモノや貴重品類(保険証券、貸金庫の鍵、現金など)を探し出し、家具と一緒に取っておいてほしいとのことでした。

【実績】
スタッフ:8日間、延べ37名
処  分  量:計5,610kg(可燃・不燃ゴミ4,000kg、紙類1,200kg、布類330kg、ビン40kg、金属類40kg)

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【お客さまの声】
長年にわたり、絶望と怒りと悲しみと恐怖と無力感の元でしかありませんでした。自分たちでは何年かかるか・・・くらいの状況だったのが変わっていくにつれて心にかかったモヤが晴れていきました。
変化を一言で言うと絶望→希望です。

【事例2】引きこもりの息子さんの部屋が、足の踏み場もなくなった

「衛生的にも良くないので、せめて床の掃除ができるくらいまで片付けてほしい。」というご依頼をいただきました。

間取り:6畳の1部屋
ゴミの量:床上10~50cm

作業内容は、資源(ペットボトルやダンボールなど)の分別と処分、息子さんと一緒に本の整理整頓をすることです。

【実績】
スタッフ:2日間、延べ3名
処  分  量:計420kg(ペットボトル20kg、紙類390kg、金属類10kg)

息子さんも「これなら自分で掃除できる」と、喜んでいらっしゃいました。

【お客さまの声】
最初はとても手が付けられないと思っていましたが、息子と対話をしながら綺麗にしていただき、とても感謝しています。
私だけでは絶対に無理だったので、専門の方に任せて本当によかったです!ありがとうございました。

【事例3】夜勤で不規則な生活のため、ゴミ出しができなかった

「すでに別の家で暮らしており、来月末には退去するため綺麗に片付けたいです。お助け下さい。」とご依頼いただきました。

間取り:ワンルーム
ゴミの量:床上150cmから天井付近まで

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作業内容は、ゴミの分別と処分、退去清掃、オゾン消臭です。
また、ゲーム関係のモノは取っておいてほしいというリクエストがありました。

【実績】
スタッフ:4日間、延べ20名
処  分  量:計3,320kg(可燃・不燃ゴミ2,610kg、紙類680kg、布類30kg)

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【お客さまの声】
ありがとうございます、こんなに広かったんですね。大変な作業をお願いして、ご迷惑おかけしました。新しく家を借りるための費用など、いっぺんにお金が出ていったので、本当にギリギリでした。
もうこんな状況にならないように気を付けて生活します。

【事例4】仕事が忙しすぎて片付けられなかった

「仕事が大変すぎて、家に帰ったら横になるのが精一杯。休みを取って片付けようとしたが、できなかったので、思い切って相談してみた。」とのことでした。

間取り:3DK
ゴミの量:床上50~100cm

作業内容は、ゴミの分別と処分、探し物(通帳、印鑑、賃貸の契約書、資格免許、写真)、ハウスクリーニング、お風呂の換気扇修理です。

【実績】
スタッフ:2日間、延べ9名
処  分  量:計2,010kg(可燃・不燃ゴミ1,100kg、紙類700kg、布類150kg、金属類30kg、缶類10kg、ビン20kg)

お客さまと一緒に片付けながら、整理整頓のコツもお伝えしました。
作業終了後には「勇気を出して頼んで良かった」とおっしゃっていただけました。

【お客さまの声】
部屋の中がこんなに広いなんて、声が響くなんて、床に座れるなんて・・・幸せです。
ありがとうございました。頑張って生きて行けます

【事例5】仕事(介護関係)でクタクタになり、片付けられなかった

「朝10時から勤務して帰宅は22時過ぎ。もう自分ではどうすることもできないので、片付けてほしい」とのことでした。

間取り:3LDK
ゴミの量:床上30~50cm

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作業内容は、ゴミの分別と処分、時間が許すかぎり水回りを中心に清掃。
一緒に暮らしている猫ちゃんが、逃げ出さないよう注意が必要です。

【実績】
スタッフ:1日、5名
処  分  量:計440kg(可燃・不燃300kg、金属類80kg、ペットボトル10kg、ビン20kg、紙類30kg)

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【お客さまの声】
今は部屋に入れた喜びに浸りたいと思います。本当に勇気を出して電話してよかったです。

片付けの大切さとは

特に印象的だった「お客さまの声」を、もう一度見てみます。

長年にわたり、絶望と怒りと悲しみと恐怖と無力感の元でしかありませんでした。自分たちでは何年かかるか・・・くらいの状況だったのが変わっていくにつれて心にかかったモヤが晴れていきました。
変化を一言で言うと絶望→希望です。
部屋の中がこんなに広いなんて、声が響くなんて、床に座れるなんて・・・幸せです。
ありがとうございました。頑張って生きて行けます
今は部屋に入れた喜びに浸りたいと思います。本当に勇気を出して電話してよかったです。

このように感動していただけたのは、ゴミ屋敷を片付けて長年の悩みが解決できたからですが、もう少し具体的に分析してみます。

アメリカの心理学者マズローは、生理的欲求や安全欲求などの基本的欲求が満たされると、さらに高次の欲求にステップアップしていくと考えました。

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ゴミ屋敷を片付け切った場合に、各段階の欲求がどのように改善されるか、下位の欲求から順に推測してみます。

生理的欲求(食事、睡眠、排泄など)
・キッチンが使えることで、バランスの良い食事を作ることができる。
・清潔でくつろげる環境になり、睡眠の質も高まる。
・お風呂やトイレが快適に使えることで、衛生的になる。
安全欲求(安全、経済的安定など)
・転倒によるケガ、火災などの危険性が減る。
・ホコリやカビ、害虫の発生が減り、健康的な環境になる。
・物の管理ができるようになることで、無駄な買い物が減る。
・快適な環境は、仕事にも良い影響を与える。
社会的欲求(集団に所属)
家に人を呼べるようになるなど、交友関係が活発になる。
承認欲求(認められたい)
ゴミ屋敷と無関係なことでも、無駄に自己評価を下げてしまうようなことがなくなる。
自己実現欲求(自分の能力、可能性を十分に発揮したい)
下位の欲求が満たされることで、徐々に本来の自分を取り戻し、自己実現に向かって行動できるようになる。

ゴミ屋敷の場合、主に生理的欲求や安全欲求などが充足できていなかったために悩んでいたのです。
しかし、片付けることによって、その悩みから一気に、ウソのように解放されます。

これは、すごいことです。
もともとの悩みが大きければ大きいほど、感動も大きくなるでしょう。

ゴミ屋敷や汚部屋でなくても、片付けるとスッキリします。
それは感動と言えるほどではないかもしれませんが、スッキリした清潔な部屋を維持することができれば、基本的な欲求はかなり満たされます。

そして、それが上位の欲求に挑戦するパワーになるはず。

だまされたと思って片付けてみませんか?
ひょっとしたら人生が変わるかもしれません。


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