タイトル1

公務員にもマーケティングは必要ですか?(3) ~3Cから4Pへ~

「公務員×マーケティング」について書いていますが、ここでいう公務員とは、主に区市町村レベルの地方自治体の職員をイメージして書いています。国家公務員や都道府県など他の公務員のイメージには合わない部分もあるかもしれませんが、ご容赦ください。

3.3Cから4Pへ

3Cとは?

3Cとは、以下の3つを指します。

Customer(顧客)
Competitor(競合)
Company(自社)

これに「公務員にもマーケティングは必要ですか?(2)」で示した、①やりたいこと、②できること、③求められていることの3つを重ねてみると・・・

Customer(顧客):③求められていること(ニーズ、ターゲット)
Competitor(競合):???
Company(自社):①やりたいこと、②できること

競合が抜けていることに気づきました。
つまり、前回示した3つの円は、自分と相手(ターゲット)との関係性しか表しておらず、第三者の存在がありませんでした。

マーケティングの概念は広く応用が利くため、ビジネスだけでなくスポーツや文化・芸術などにも置き換えられますが、私が分かりやすかったのは恋愛です。

Customer(顧客):好きな人
Competitor(競合):ライバル
Company(自社):自分

先程の競合が抜けている事例で言えば、好きな人(Customer:顧客)にいきなり告白したら、すでに恋人(Competitor:競合)がいた、という状態です。恋人がいるということを、把握していなかったために起きた残念な事例です。
そうならないように、事前にしっかりと3Cを把握しておくことが重要です。

公務員にとっての3Cとは、次のようになるかと思います。

Customer(顧客):住民
Competitor(競合):他自治体、民間企業
Company(自社):自らが所属する自治体

4Pとは?

では次に、4Pについて同様に考察してみます。

Product(商品)
Price(価格)
Place(流通チャネル)
Promotion(販売促進)

この4つを恋愛に置き換えてみると、こんな感じでしょうか。

Product(商品):自分の強み、特技、アピールポイント
Price(価格):自己評価、相手にとっての負担感、価値観
Place(流通チャネル):共通するもの、人脈
Promotion(販売促進):アピール方法、周囲からの評判

流通チャネルの「共通するもの」とは、例えばクラブ活動であったり、クラスや職場が同じ、趣味が同じ、あるいは同じ電車に乗っている、同じ時間や場所でいつもすれ違うなど。
また、価格の「価値観」がマーケティングにおいては重要なキーワードだと思っているのですが、ここでは深く触れずに進みたいと思います。

3Cを把握していないと4Pは生まれない

さて、ここで一度考えたいのが「なぜ3Cから4Pへ」なのか?ということ。
それは、3Cをしっかりと把握することによって、自ずと4Pが見えてくるからです。もっと言えば、3Cを把握していないと4Pは生まれない、ということです。
恋愛に置き換えた4Pはいずれも、一つ一つは曖昧なものであったり、複数の選択肢があったりするものです。ここに3Cの情報を重ねると、選択肢が絞れてきます。

例えば、好きな人と自分の情報を重ねることで、共通するものが見つかったり、互いの価値観に気づいたりできます。また、ライバルと自分の情報を重ねることで、ライバルよりもアピールできる強みが分かったり、ライバルと同じアピール方法では到底敵わないと気づいたりできます。
したがって、3Cをしっかりと把握することによって、自ずと適切な4Pが見えてくるということが言えると思います。

しかしながら、現実には3Cを把握しないまま、いくつかのPからスタートしてしまう「アイデア先行の思いつき型」に陥ってしまいがちです。
例えば、「インスタグラムが流行ってるから、インスタ映えする商品を作ろう」といって、ド派手な商品を作るなどがそうです。ですが、冷静に考えてみれば、自社のターゲットに合わないかもしれないし、既にライバル社が同様の商品を売っているかもしれない。あるいは、豪華にしようとばかり考えて、予算オーバーかもしれません。
アイデアを思いつくのは素晴らしいことなので、そのアイデアが無駄にならないようにしっかりと3C分析をすることが大切です。

それでは、4Pを行政に当てはめてみます。

Product(商品):施策、事業
Price(価格):予算、費用対効果
Place(流通チャネル):場所(施設、公園など)、協力者、関係者
Promotion(販売促進):広報

ここで考えたいのは、職員はどこに該当しますか?ということです。
私は、4つのP全てに当てはまると思っています。
商品であれば職員の柔軟な対応力、価格であれば「予算がないから知恵を絞る」、流通チャネルや販売促進であれば住民から頼られる職員信用度・信頼度の高い職員などが挙げられると思います。

マーケティングは属人的な手法やテクニックをシステム化(見える化)することと言いましたが、そのシステムを運用するのは人(職員)であり、円滑に運用するための潤滑油は人間力や人間関係であることも忘れてはいけないと思っています。

つづく
(次回は2週間後になるかもしれません)

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