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職場に戻ろうとしないことが、その職場での活躍につながる

メンタルヘルス不調者の対応する中で、自分の体調がすぐれず、期待される役割を果たせない状態になっても、その仕事を継続しようとする人が一定数いる。仕事をやっても成果にはつながらず、仕事をやればやるほど、うまくいかなくて、自分自身や周囲からの評価を下げ続ける、それでもなお、その場から離れず、働き続けようとするのだ。その人に、よくよく話を聞くと、「仕事をやめたくないとか、生活できなくなる」などの理由を口することが多い。しかし、自分の仕事の成果がそのまま報酬に影響する仕事をしている人なら、仕事をしなければ生活できなくなると考えるのはまだ理解できるが、一定規模の企業などに雇用されている人で、休職制度や健康保険組合の傷病手当金などがあり、ただち経済的に困窮することはなくても、上記のような発言をする人がいる。病気の症状と言ってしまえばそれまでだが、専門的な治療を受けて症状が改善しても、いかにその仕事を継続できるかということにこだわり続け、また体調を悪化させることを繰り返すことがある。

あえてほかの働き方に触れてもらう

そういう時には、あえてほかの仕事や働き方について、触れたり考えもらったりすることがある。地域のボランティア活動に参加したり、農作業を手伝ったりする。また、ご自身のこれまでやってきたことを振り返って、自分の強みや弱みを分析して、もし今から就職活動するとしたらどんなことがしたいのか、どんな人になりたいのか、考えてもらう。
一見すると、転職活動のようにも見え、新しい職場や仕事を見つけてしまいそうな取り組みだが、多くの場合、本人の意思で元の職場に戻るという選択をする。しかし、その後の仕事の様子は、同じ職場、同じ仕事をしていても、仕事に対する向き合い方は大きく変わっている。何が変わっているのかを意識して話を聞いてみると、それまではその仕事をしていることだけに価値を見出していたが、他の仕事・職場を知ることで、その仕事をすることの自分なりの意味だったり、やりがいを見つけているのだ。その仕事にしがみつかなくても、他の可能性があると思えることが、失敗を恐れずチャンレジすることができるようにもなるようだ。

視点を変えることが改善のきっかけになる

メンタルヘルス不調になる場合、いつの間にか視野が狭くなり、同じようなところを行ったり来たりしていることはよくある。だからこそ、少し違う視点を変えて、考えてもらうことが、改善のヒントになるのだ。


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<著者について>
野﨑卓朗(Nozaki Takuro)
 
日本産業衛生学会 専門医・指導医
 労働衛生コンサルタント(保健衛生)
 産業医科大学 産業生態科学研究所 産業精神保健学 非常勤助教
 日本産業ストレス学会理事
 日本産業精神保健学会編集委員
 厚生労働省委託事業「働く人のメンタルヘルスポータルサイト『こころの 
 耳』」作業部会委員長
 
 「メンタルヘルス不調になった従業員が当たり前に活躍する会社を作る」


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