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映画批評

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映画『憂国』 批評

映画『憂国』 批評

彼の世界観は一本の日本刀のようなものだ。その物語は彼の信条と美意識とに貫かれている。凛然とした威厳を持ち、誰にも犯すことのできない崇高さと気高さがある。彼の創造する物語はどれも高尚なものだ。人間の理想と宿命と官能と生と死とが交錯する。それは彼独自の倫理体系だ。彼独自の倫理は彼自身において完成されている。

儀礼の中で死を完遂する凛然とした態度。儀礼の中にこそ生きる人間の態度。人間よりも儀礼が上にあ

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