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アベノミクスが残した黒い遺産


「高度プロフェッショナル制度」の実態が、「裁量労働制」と同じような過労死ライン超えになっているらしいのを知っていますか?
「裁量労働制」が「残業代ゼロ法案」と呼ばれていた当時から懸念されていたように、安倍政権が推奨したこれらの制度の真の目的は、もしかしたら『企業によるコストカット』だったのかもしれません。

ここから先は私的見解であるとお断りしておきますが、こうなると、アベノミクスでの異常な株価維持も安倍っちが選挙に強かった理由も、自民党が某カルト教団とズブズブの関係にあった理由と同じだったんじゃないかと疑いたくなりますね。
ズバリ「組織票の確保」によって政権を維持するのが究極の目的だったと考えれば納得がゆくのです。
もしそうだとすれば、安倍氏を支持しない人々を「こんな人たち」呼ばわりしたり、あれだけやりたい放題して有権者の反感を買うことも多かった安倍氏が、なぜか選挙になるとやたら強くて長期政権を誇るほど異常に人気が高かったのか、その理由も説明がつく気がしませんか?
ついでに国民の半数が反対していた国葬を強行した理由も?



「裁量労働制」とは別名「定額働かせ放題」、「残業代ゼロ法案」と呼ばれていて、「裁量労働制の拡大」は、運用次第では相当にタチの悪い法案になると当初から懸念されていました。

裁量労働制(さいりょうろうどうせい)とは、日本の労働法制で採用されている労働者が雇用者と結ぶ労働形態の一種。労働時間と成果・業績が必ずしも連動しない職種において適用され、あらかじめ労使間で定めた時間分を労働時間とみなして賃金を払う形態である。
Wikipedia「裁量労働制」より引用

別のところをもう少し引用します。

違法事案 ゲームソフトメーカーのテクモにおいて、経営陣が経理部の社員を「従業員代表者」として選定し、その人と労使協定を「結ぶ」事によって裁量労働制の導入を実施し、運用していた。制度導入に際し、会社側が都合のいい労働者側代表を選ぶことは労働基準法違反である。その後、他の従業員からこの点を追及され、裁量労働制を廃止している。
ゲーム開発会社のサイバードに勤務していた元社員の女性に裁量労働制を適用したものの、この女性は実際にはイベントの企画や宣伝などを担当しており、渋谷労働基準監督署が、女性の業務がゲームソフトの研究開発などに該当しないと判断し、裁量労働制の適用範囲外であるとして、同社に2017年8月14日付で是正勧告していたことが判明した。
野村不動産では、企画業務型の裁量労働制を、本来は企画の立案や情報分析などの業務に限って可能であるにもかかわらず、実際には営業担当の社員に対しても拡大して導入していたとして、東京労働局が2017年12月26日に同社に是正勧告と事業者の公表を実施。これを受け同社では、2018年4月1日から企画業務型の裁量労働制を廃止した。違法に裁量労働制が適用されていた50代の男性社員が、2016年9月に過労自殺し、長時間労働による過労死が原因として労働災害認定されていた。把握された残業時間は最長で月180時間超あった。
Wikipedia「裁量労働制」より引用


「高度プロフェッショナル制度」には年収1075万円以上という制限があるのですが「裁量労働制」には年収の制限がありません。
どちらにせよ法理が定める労働時間の規制から完全に逸脱する制度であり、違いは年収制限の有無だけです。

高度プロフェッショナル制度(こうどプロフェッショナルせいど)とは、高度な専門知識を有し一定水準以上の年収を得る労働者について、労働基準法に定める労働時間規制の対象から除外する仕組みである。2019年(平成31年)4月の改正法施行により導入された。

高度の専門的知識等を有し、職務の範囲が明確で一定の年収要件を満たす労働者を対象として、労使委員会の決議及び労働者本人の同意を前提として、所定の措置を講ずることにより、労働基準法に定められた労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用しない制度である(平成31年3月25日基発0325第1号)。年次有給休暇の規定は一般の労働者と同様に適用される。
Wikipedia「高度プロフェッショナル制度」より引用


そもそも「裁量労働制」とは、労働者を「労働時間の長さでなく質や成果で評価します」というもので、ここだけを聞くととてもスバラシイ制度に思われるのですが(アベノミクスにはそういうものが少なくなかった)、これは年収が1000万でも、300万や200万の低賃金の労働者にも一律で適用される制度です。
つまり、企業都合での残業が多い職種や派遣などの単純労働で、低賃金ゆえに残業代で稼いでいたような人達にとっては、ぶっちゃけ残業代なしの定額で働かされ放題になるというシロモノなわけです。

これと「高度プロフェッショナル制度」との違いは、こちらは一定の年収要件(年収1075万円)以上を満たし、高度の専門的知識を持つ労働者を対象に労働時間に関し労働基準法の適用を廃止する制度です。
なので「高度プロフェッショナル制度」には残業代や深夜労働などに伴う割増賃金は発生しません。このご時世だと「年収1075万円貰えるなら定額働かされ放題でもOK」というひともいそうですが、実態はどうだったのか?

高度プロフェッショナル制度は「高い交渉力を有する高度専門職に限って、自律的な働き方を可能とする制度」。2018年6月の国会で安倍氏はこう説明していた。高プロは残業上限などの規制をなくす制度で、弱い立場の社員だと無理に同意させられ、長時間労働を強いられかねないからだ。
ところが厚労省自身が今年初めに行った適用者へのアンケート(回答者254人)では、44.9%の人が前の会社での経験も含めた対象業務の経験年数は「3年未満」と回答。経験の浅い人が多い実態が鮮明だった。適用の際の本人同意も「なければ適用できない」と加藤氏は当時説明していたが、本紙が8月13日に報じた通り13.4%は「(適用を)希望していない」と回答した。

高プロ導入の経緯をウオッチしてきた上西充子法政大教授は「加藤氏は指導で歯止めを掛けられるように印象付けるが、入社1年目の若者が月400時間の働き方を強いられても、法律通り同意を書面で得て健康確保措置をしているなら、法の規定を踏み越えた指導は困難。そこに高プロ制度の本当の危険性がある」と指摘。制度自体の見直しの必要性を主張している。
東京新聞2022年9月26日 「高度プロフェッショナル制度」が当初の説明とかけ離れた実態に 過労死ライン超えも 安倍元首相の主導で導入 の記事より引用



国葬関連、国葬を支持した人々は安倍氏を賛美するばかりで、負の遺産からは目を背けていますが、安倍政権以降、国会では強行採決が当たり前に行なわれるようになりました。
長期政権下では忖度や不正が横行し、それらの事実が露見して問題となっても、その場しのぎの言い訳を並べてうやむやにするなど、政治家の説明責任も軽くなりました。
その中心にいたのが安倍氏で、わたしの目には、彼自身が率先してお手本となり、それらをおこなっていたように映りました。

昨年、自党の総裁選を勝ち抜いて現在の首相となった岸田サンは、立候補した当初は随分いいことを言っていたように記憶しています。
しかしあれから1年が経った今、彼は前任者と同じく、安倍氏のやり方を忠実に継承する道を選んだのだとしか思えません。

思うに、政治家が儲かる商売であり続け、企業やカルト教団と癒着することで権力の維持が可能であり、それを規制も処罰もされず、抜け穴を幾つも用意しているうちは、この国の政治は変わりそうにありません。

そしてアベノミクスの手法と同様、借金を財源とした政策や人気取りが目的のような支援策に際限なく大盤振る舞いを続ける現首相のもとで、もともと明るくはなかったこの国の未来は、どんどん灰色に、今後はさらに黒く染まってゆくように思われてなりません。

イギリスのトラス新政権では、減税政策の「トラスノミクス」に批判続出で、借金頼みの財源への不安などから通貨のポンドが急落したそうですが、イギリス人はアベノミクスに踊らされた日本人をどう見てたんでしょうね?


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