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読書記録「アンの愛情」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、モンゴメリ 村岡花子訳の「アンの愛情」新潮社 (1956) です!

モンゴメリ「アンの愛情」新潮社

・あらすじ
18歳になったアンは、旧友ギルバートやプリシラと共に、レドモンドの大学に入学する。

最初こそ、愛する故郷 アヴォンリーを離れてホームシックになったり、田舎者として馬鹿にされるのではないかと悲嘆に暮れていた。

だが、入学初日に出会ったフィリパ・ゴードン(フィル)と出会ってから、キングスポートでの生活や、社交の場にも馴れてきた。

特にフィルは異性からモテた。故郷に親しき男性が2人おり、美しい容姿や相手を飽きさせない会話など、寄ってくる男たち(崇拝者)は数知れず。

もちろん、アンも同様である。未だに鼻のそばかすは消えないけれども、整った鼻や美しい赤い髪の毛に惹かれる人は多い。

だけど、アンにはギルバートがいた。古くからの友人だけでなく、大学の人達さえ、彼ら二人はいずれ結婚するのだと思っていた。

しかし、アンにとってギルバートは、非常に仲の良い古くからの友人であり、恋人(結婚相手)ではなかった。なぜなら、アンが思い描く恋人は、子供の頃に夢見た王子様なのだから。

そして、大学三年生のとある雨の日に、遂に王子様と出会う。ロイヤル・ガードナー(ロイ)は、アンが夢見た恋人だと。

四年間の大学生活を通じて、アンはまた一歩、大人の階段を昇っていく。

前作の「アンの青春」を読み終えた流れで、このまま読み続けようと紐解いた次第。

色恋など1ミクロンのない大学生活を送った私にとっては、あぁこれこそ青春だよなぁと物思いに耽りながらも、アンの恋愛の行く末を見守っていた。

ここまでアンの成長を見守ってきた読者としては、アンの気持ちもわからなくはないけれども、もう付き合っちゃいなよって思っちゃう反面、アンが自分で決断して相手を選べてよかったと思う。

大学生活やアヴォンリーでの日々の中、アンだけでなく、当然周囲の時間も過ぎていく。

自分の周りばかり大人になっている気がして、自分だけが空想の世界で生きている、まるで子供の頃から何も変わってないのではないかと思い悩む。

あんたは目の前に見ている愛が分からないのよ。例のあんたの空想で自分では愛と思うものを作り出して、本物もそのようなものだと考えているのよ。

同著 222頁より抜粋

当時は結婚することが当たり前って時代だったこともあって、マリラやリンド夫人からの期待もあるなか、徐々にアンは、理想と現実に直面させられる。

実際の恋愛というものは、ロマンチックなお伽噺のようなものではない、と。世の中には、好きでもない相手と結婚する人だっているのだと。

だけど、それが絶対に「真実の愛」がないとも言い切れない。

昔のからの親友 ダイアナが結婚したことや、下宿先の婦人の恋愛事情にお節介を焼いたり。何より、後に(今風に言えば)シェアハウスをするフィルの影響は大きい。

フィルは故郷にお見合い相手が二人もいたけれども、どちらも良い点も悪い点もあって、求婚を決断できずにいた。

そのフィルが、自分でこの人だと決めた相手に出会った瞬間、本物の愛に気づく。今まで迷っていたのが滑稽に思えるほどに。

初めて自分で決心してみたけれど、まったく簡単だったわ。そうと確信が持てて、しかもそれが自分自身の確信であって、だれかほかの人の確信じゃないと自覚しているのはうれしいものね。

同著 266頁より抜粋

結局のところ、誰かに選んでもらう、愛してもらうという姿勢ではなく、自分から誰かを愛するという覚悟が大事なのかもしれない。

先日読んだ綿矢りささんの「勝手にふるえてろ」のように、最後は自分でこの人だと決めて、その人を受け入れること。

それはとても勇気がいる。誰しも自分を「愛してくれる」人を望むかもしれないけれども、本当は自分から愛する姿勢が大事なのかもしれない。

でもまあ一個人としても、アンが「真実の愛」を見つけてくれて、本当に良かったと思う。それではまた次回!

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