なし (それは奥ゆかしさとは…)

それは奥ゆかしさとは裏腹のあまりに浅はか過ぎて、もしその場に第三者が居合わせていたとしたら嘲笑が込み上げてくるくらいのちっぽけな出来事だった。
一口サイズにして一緒になって笑ってしまえばいいはずなのに何故この心臓と心臓をつなぐ周辺の管は大きく脈を打っているのだろう。
明らかにその解き放たれた言葉の使い方は間違っていた。
騒動らしくなった頭蓋骨でいくら考えてもその場に不適合だったようにしか思えない。
しかしそれを指摘してしまったとすれば、さらにその場を流れる血反吐がじんわりとこちらに侵入してくることだろう。
遠ざかるような大きな音を立てて誰かの社会的な何かが今、砕け散った。

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