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今回のおすすめ本 標野凪『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』

みなさんこんばんは📚
今回おすすめするのは、標野凪『こんな日は喫茶ドードーで』という本です!

 本作の主人公は、ある街の奥にひっそりと佇む小さなカフェ〈喫茶ドードー〉の店主「そろり」。このお店のコンセプトは「おひとりさま専用カフェ」。彼のもとには日常生活で疲れたお客が訪れていきます。そこでそろりはアドバイスを行なっていくのでした。

第一話 自己肯定力を上げるやかんコーヒー

 翻訳の仕事をしている小橋可絵は、とあるSNSにおいて「#ていねいな暮らし」をクリックして日常生活に取り入れています。そこで知ったsayoというお気に入りの投稿者。しかし、紹介されている商品を買っても思ったように取り扱いできず疲労が溜まっていってしまいます。そんな時に見かけた〈喫茶ドードー〉に可絵は入っていきます。
 そろりは他者のSNSを意識して過ごす可絵にどのようなアドバイスを行うのでしょうか…。


第二話 心が雨の日のサンドイッチ

 小学校就学前の子どもを対象とする塾に勤務する多加良世羅は同棲していますが、選択的夫婦別姓制度が実現するまで入籍を保留にしています。しかし、日常生活では入籍して同性にしている夫婦の方が多勢です。世羅はそんな情勢を意識して生活を送っています。雨の日に雨宿りのために木陰に入るとそこには〈喫茶ドードー〉の看板があり、向かっていきます。
 世間と異なる意見を持つことによる歯痒さを抱える世羅に対して、そろりはどのようなアドバイスを行うのでしょうか…。


第三話 自分をいたわる焼きマシュマロ

 雑貨店の店長をしている緒川小夜子は独身生活を送っています。しかし若い頃と同じ働き方をしている自分に限界を感じています。ある日めまいがして座り込んでいると、それを見かけたそろりによってお店に案内されます。また別の日に小夜子のもとに大学時代の頃からのグループトークには初孫ができたことを報告するメッセージが届きます。小夜子は自分の半生を振り返って、自分の生き方が正しかったのか懊悩します。そんな折〈喫茶ドードー〉に足を運んでいくのでした。
 人生を仕事に注いで生きてきた小夜子に対して、そろりはどのようなアドバイスを行うのでしょうか…。


第四話 森のおとしものと森のおくりもの

 ヘアサロンに勤務する谷彩花は自身の習得した技術に誇りを持っているものの、勤務先では活かせていないことに不満を持っています。さらに客の要望は自分勝手だったりで、対応することに疲労を感じています。中には嫌味を言ってくる嫌な客も…。そんな時に以前同僚に聞いていたカフェ〈喫茶ドードー〉を思い出し、訪れます。
 自分の感情を抑えて接客を行う彩花に対して、そろりはどのようなアドバイスを行うのでしょうか…。


第五話 幸せになる焼きリンゴ

 フリーランスのテキスタルデザイナーとして仕事をしている磯貝睦子は、三十年以上付き合いのある会社から仕事のオファーを受けています。いつものように仕事をこなしてデザイン案を送ります。しかし、先方からは別の案を追加でオファーされてしまいます(遠回しにデザイン案を否定されます)。無事に帳尻を合わせることができたものの自分の進退を考えているとき、〈喫茶ドードー〉に足を運んでいくのでした。
 自分の進退を考え悩む睦子に対して、そろりはどのようなアドバイスを行うのでしょうか…。


読後感想

 本作はコロナ禍を踏まえて書かれていることもあり、社会情勢が反映されています。今後この時代がレトロ扱いされる頃には同時代作品として取り上げられるのかなぁと感じます。また、各話に登場する人物たちは相互に関連しているところが見られ、実際に存在している場面を切り取った印象があります。日々の生活で見かける人たちも不思議な繋がりがあるのかもしれませんね。
 参考文献にレジリエンスの本が挙げられていることからも、「自分をいたわる」ことの重要性を感じられる内容となっていると思います。日々生きている全ての人にほっと一息つく時間を提供してくれると思います。

ぜひお手に取って読んでみてください☕️

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