結婚をしようと思いをくじく面倒さ

 少子化の原因が未婚率の上昇にあると言われている。
 では未婚率の上昇はといえば、それは経済的理由が原因と言われている。
 そのように考えていくことは、確かに頭の良い方法だ。なぜならデータは嘘をつかないし、まったく事実を表してくれる。あとはデータの読み取り方次第で、この世のことは大抵、丸裸にできるものだ。
 でも、だからといって、結婚というものがされなくなっているのはそんな理由が主ではないように思える。つまり、もっとすごく簡単で、一見したところちっぽけそうな障壁が結婚を阻んでいる気がするのである。

 それは手続きだ。特に、戸籍。この事務的な煩雑さが、あるいは融通のきかなさが、少なくとも日本だと本当に面倒になってしまうのである。数字とか、社会とか、ライフスタイルとかそういうのではなくて、ただただ、ずっと変わろうとしない国の手続きが、人々を結婚から遠ざけている。それはいたってシンプルなこととしてある。

 だから、人間は矯正されなければ結婚なんかしないのだ。本来的にそうなのである。未婚率が低かった時代の最大の要因は、周囲の人々が結婚を促していたからだと言われる。それくらいに当人達に力を加えなければ、つまり外部の労力を割かなければ、結婚はなされない。
 そういうものであるところ、さらに、書類の手続きが面倒とくるのであれば、それはもう挫折するにはもってこいである。戸籍を取り寄せたり、証人に署名してもらったり、平日しか直接手続きできなかったり。そういうちょっとした(ちょっとではないと思う人もいる)不便の積み重ねが、そもそも結婚をなお、させたくないものとして人々に映る。
 そもそも何らかの強制がなければ動かないのに、障壁まである。そんな状態がスタートラインなのだから、よほど自分のためなのだと思えなければ、結婚はどんどんとしないものになっていくのは、やはり当然である。

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