友情努力勝利に惹きがあるのではなく。

 少年漫画が誰にとっても面白いのは、誰の心にも「少年」がいるからだ。それはつまり「冒険心を持つ、成長過程の人格」である。そして「抗いがたい束縛から逃げ出したい思いを常日頃抱えている」からだ。少年漫画は、主人公を通して、そしてその周囲のキャラクター達の抱える問題を通して、その「冒険」「解放」「成長」を描いているために、誰にとっても面白い物語となる。
 また、このことは、少年漫画のテーマ設定にもかかわってくる。「冒険」「解放」「成長」を軸にテーマが決められる時、それは多くの読者にとって無視できないものになる確率が高い。世の中には色々な興味を持つ人々がいるが、これら3つに興味のない人はいない。いるはずがないのだ。

 誰でも心に「少年」を遊ばせている。冒険は魅力的だ。束縛から解放されたい。そして成長してより自由な生を手に入れたいと願う。その人間的関心がある限り、誰も、少年漫画への興味からは逃れられない。その引力からは離れられない。長年、人々の心をつかんで放さない少年漫画は、この3要素――「冒険」「解放」「成長」をもって、私達の人生そのものに問いかけてくる。
 だからそれは、老若男女誰も、好んでしまうジャンルなのだ。

※このテーマに関する、ご意見・ご感想はなんなりとどうぞ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?