見出し画像

リスペクトを忘れて実利に走る

 素早く手軽になんでも手に入る時代に、「尊敬」や「尊重」は意味をなさなくなっている。というよりもそれらは明らかに軽んじられるようになった。特に生命の尊さなどというものは、もちろんあるべきものだと頭でわかっているが、それが「実利とは違う」と、頭の中で切り離されていることが当然になりつつある。
 生命を代表する多くのものへの尊敬や尊重。そういった倫理的な思想や態度はお金にならない。むしろ、生きにくい現代でそれを達成するのなら、余計にお金がかかるのが実情だ。だから私達は、それを捨て始めている。そんな思想よりもむしろ、実利が大切なのだと。今日を、明日を生きる。そのために楽になるために。尊い考え方よりも、利益を、お金を、得をすることを。

 リスペクトがお金にならないかどうかは別にして、少なくともそのような態度は無駄だと思われがちである。あるいはそういったものは、一部の生活に余裕のある人々の特別だと思っている。そうして私達はどんどんと、リスペクトを忘れていく。生活から切り離していく。それよりもとにかく生きることに必死で。いつのまにか、豊かな暮らしをしているはずだったのに、なぜか、心は貧しく、自分勝手になっていく。

※このテーマに関する、ご意見・ご感想はなんなりとどうぞ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?