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ここではないどこか

自分の居場所がしっくりこない。
こんなところはわたしにふさわしくない。

どこで働いていてもそんな風に思っていた若かったころ。
現実に甘んじるのがみじめすぎたころだ。
出来損ないの私、ポンコツの私、恥ずかしい女。
恥の上塗りをして、恥の多い人生を歩んでいた。

求められない私には価値がない。
失敗ばかりの私の改善の仕方もわからなかった。
努力もできず、変われない自分を弱い時分だと思った。

強くなりたい。
と、ずーっと思っていた。

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十年ほど前に見た、何かのドキュメンタリーで
戦争孤児だった人が物乞い、盗み、で命をかろうじて繋げて
やがて時代と共に生活はできるようになり、
孤児の過去を隠していた80代のおばあさんへのインタビューを見た。
あれから70年が過ぎようとしているけれど、
戦災で両親を亡くし、孤児となりさまよっていて時の心の痛みは
今なお、消えずに残っているのが伺えた。
涙ながらに当時のことを語る老婦人の傷は癒えていない。
結婚もして、子供も育て平凡にも幸せな暮らしになり
今は孫もいる幸せなおばあさん。
でも、当時のことを思うと不憫な自分がよみがえる。
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痛みや感情はその時の自分の体が覚えている。
年月が忘れさせてくれるわけじゃない。
重い蓋をしただけだ。
何かのはずみでちょっとずれると異臭がしてくる。
逃げたくなる。

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いっそのこと、狂ってしまいたいと思うこともあった。
狂いそうで怖いと思ったこともあった。
人は狂ってまでも自分を守る。いや、
狂ってしまうのは壊れたのか。。。

そんな疑問を持ちながら
自分の居場所がないといつも
心のどこかで思っていた。

ここではないどこかへ逃げたい。

そんな苦しい気持ちから
心理学など、少しでも楽になりたいと勉強した。

蓋を開けて、傷を癒し、ポンと昇華した。
32年前のことだ。

あれから、幸せな結婚をし、子供にも恵まれて
今は感謝ばかりの毎日。

人生に波はあったけれど、いいことばかりではなかったし、
沈む気持ちになるときだってあるけれど、
あの重い苦しい気もちはもう、どこにもない。
あの時の、なにくそ!負けないぞ!ともがいていた私に、
よく頑張ったねと言ってあげたら、
何一つ、自分のことを認められなかった私はきっと泣く。

ここにいていいよ。
ここがあなたの場所よ。
幸せになる場所。






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