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【愛着障害・うつ・AC】職人肌の父も発達障害?

発達障害の悪いところばかり書きましたが、発達障害には良いところもあります。

発達障害にはアーチストや職人が多いとされています。

こだわりが強い、人の目を気にせずにやりたい事をやる、といった発達障害の特性が、クリエイターの独自の世界観を創り上げるのに役立っているらしい、ということです。

発達障害で思い出すのは、私の父です。

父はだいぶ前に亡くなっているのですが、今から振り返れば、生前の父は発達障害を思わせる性格をしていました。

キレやすい、自己中、凝り性、忘れ物が多い、世間の暗黙知がわからない、など周りの人を振り回す困ったところのある人でした。しかし、ただそれだけでは無い、他の人には無い何かがあって、その「何か」は他の人には替えがたい父だけの「何か」なのでした。

父は町医者でした。内科と皮膚科の医院を母と二人で切り盛りしていました。若いときは体力にまかせて定休日なしで昼の診療、夜中の往診と働きとうし、疲れたらその日が休み。10日に1日ぐらいの割合で休みだったそうです。自分を中心に世界が回っているかのような人でした。

町の小学校の校医をしていた時のこと、集団検診で全校600人の生徒を一人一人ていねいに診察するために時間がかかり過ぎて、保健所のひとをイライラさせていたそうですが、父は気にしていなかったでしょう。

自分の興味のあることを自分のペースでやりたい、そういう(困った)人でした。人がどう思うかなんて、父の意識には無かったでしょう。

そんな社会性のまったくない人でしたが、なり手の少ない皮膚科というマイナーな科を得意としていて、その専門性と希少性はとても重宝がられていました。

岡山県の片田舎で開業していましたが、父の皮膚科医としての名声は県外まで轟き(皮膚科の病気は治りにくかったうえ、専門医も少なかったのでした)、隣の県や海を隔てた四国からも患者さんが来ました。インターネットやSNSがない時代にスゴイことじゃありません?

初診の患者さんに「私を信用してください」と魔法?にかけて信頼関係を築き上げるのがうまく、プラシーボ効果の大切さを強調していたと思ったら、薬価基準ではたいして儲けにならない高価な薬を処方する、金儲けよりほかにもっと楽しいことがある人でした。

車には乗らず、雨漏りがする古い家に屋根を改修して住みつづけました。世俗的な幸せには興味がなく、自分の好きな世界を大切にする人でした。

変人で職人肌、世間の常識には疎く、社会性は全くと言っていいほど無くて、そのへんも発達障害らしいのかもしれません。

祖父が「あいつは医者いがいのことは、なんちゃできん」と言ったそうですが、その通りかもしれません。

皮膚科の専門医としての力量はあって、多くの人を助けた父でしたが、それ以外はまったく役立たずだったかもしれません。

人目を気にせず、やりたい事をやりたいようにやる。

私はそんな父が大好きなのですが。

父と私は年が37歳、離れていました。
子供の私には、だいぶお爺さんに見えました。


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