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「SHARPER:騙す人」を見た(ネタバレあり)

スパーン!スパーン!と決まる騙し騙されの爽快なエンタテインメントが楽しめる


騙し、騙される人たちのオムニバス映画

相手を巧妙に騙して大金を手に入れる詐欺師たちの騙しあいの物語をオムニバス形式で描いている映画だ。

各エピソードは、長すぎず、短すぎず且つ、説明も省すぎないで語られているので、見ている側も置いていかれることがなく見られる。また、オムニバス形式なのでリズムよく集中力が途切れることなくみられる映画だった。

ただ、単なるオムニバス形式の映画ではなく、最後に各エピソードが見事なまでに繋がっていくので、見た後の爽快感もあった。

オムニバスの教科書的な演出方法

こういった「騙し」をテーマにした映画では、登場人物が多くなり各キャラクターの背景を丁寧に説明していこうとすると、説明的なシーンが多くなり間延びしてしまうことがある。

そこを、この映画では各エピソードの登場人物を3人程度絞り、エピソードごとにフィーチャーしていく人物を絞ることで、一度にキャラクターの掘り下げを行わないように工夫している。

さらに、次のエピソードではそのうちの一人が再登場するので、見ている側では新登場のキャラクターの理解に集中することができるようになっている。

これは、登場人物の多い映画を見ていると、毎回途中で誰が誰だかわからなくなってしまい、挙げ句の果てにストーリーにもついてけなくなって理解を完全に放棄してしまう自分としてはありがたい演出方法だった。


騙されているのは、見ているあなた

表題からわかる通り、各エピソードごとに騙す人騙される人が登場し話が進んでいき、最後のクライマックスに向かっていくのだが、いい意味で期待を裏切ってくれるエンディングだった。

オムニバス形式で話を一話ずつ進めていくと、意識するかしないかにかかわらず、話をパターン化して理解しようとして、自然に「次のストーリー展開はこういう感じなのでは?」という予測を立てるようになる。この映画では、どこまで計算しているのかわからないが、これをうまく利用していて、クライマックスでは、登場人物だけでなく、騙されているのは見ている側も一緒に騙されていたという展開になっていく(少なくとも自分は完全に騙されていた)。

最後の展開に持ち込むために、オムニバスで話を進めていこうと考えていたとしたら、大成功していると思う。


ジュリアン・ムーアの快演が光る

当然のことながら、俳優陣はどの人も演技の違和感はなかった。特にジュリアン・ムーアは途中からの出演になるものの、一気に主導権を握っていく怪演がとても良かった。見ていて、映画の雰囲気が一気にしまった感じがした。


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