見出し画像

『すべての神様の十月』小路幸也

小路幸也さんの『すべての神様の十月』を読みました。小路幸也さんの作品を読むのは私にとってこれが初めてです。

人間と八百万の神々との交流を描いた連作短編集となっています。死神や貧乏神、福の神などが登場し、それぞれの神は人間の世界で言う友達同士のような関係なのだそう。それぞれ目的を持って人間の前に姿を現し、役目を果たせば去っていきます。
寿命を迎えた人間の死を見届けるだけの死神とひょんなことから死神を召喚してしまった人間。強運の持ち主の人間と不幸にならないように貧乏にさせている貧乏神。。。普段、私たちが想像する神様とは違った姿や役割を持った八百万の神々と人間たちがこの物語の主役です。

私は死神の以下の台詞が印象に残りました。

「この世にあるものは何でもそうです。生まれたのには意味があります。存在そのものに意味があります。そして、生まれて時が流れればその役割を終えて眠るのです。人間も神様もそれは変わりのないことなのですよ」
『すべての神様の十月』小路幸也著 本文より

私にもこの世に存在する意味や役割が何かあるのかなと少しワクワクした気持ちになりました。永遠に眠るその日まで、日々の暮らしを大切に、幸せを感じながら生活していきたいと思いました。

八百万の神々の存在を日々の生活の中で感じられたなら、ささやかな日常がなんだか楽しく愛おしく感じられそうだなと思いました。私の周りにはどんな八百万の神がいるのだろう、と妄想が膨らみました。

続編の『すべての神様の十月(ニ)』も読んでみたいと思います。

この記事が参加している募集

推薦図書

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?